つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

鉄欠乏性貧血の原因精査

鉄欠乏性貧血の原因精査のメモ書き 鉄欠乏性貧血を疑うには別記事参照。 鉄欠乏性貧血を疑ったら鉄補充療法を行うが、そもそもの原因検索が重要。 ✅消化管出血:便潜血検査、上部・下部消化管内視鏡検査施行 ✅鉄摂取不足:胃切除術後の問診(胃切除により胃…

心不全におけるTRPG値の解釈

心不全におけるTRPG値の解釈 TRPG(transtricuspid pressure gradient)=三尖弁圧較差のこと。TRPGはドップラーエコーで三尖弁逆流の血流速度を求めることによって、簡易ベルヌーイの式により算出可能である。 すなわち、 TRPG=4×(TRVmax)の二乗=推定右…

ヘパリン投与中はAPTTだけでなくAT3も一緒に測定する

ヘパリン投与中はAPTTだけでなくAT3も一緒に測定する ヘパリン投与してもなかなかAPTTやACTが延長しないことがある。このヘパリン抵抗性とも言える原因として最も多いのがAT3欠乏(その他にもDICや敗血症、肝硬変などもある)。ヘパリンを増量してもAPTT延長…

PCPS中のヘパリンコントロール

✅PCPS中の抗凝固コントロール PCPS管理中のACTの目標は以前は200〜300秒程度と言われていたが、PCPSの回路が進化してヘパリンコーティング化されるようになって現在ではACTの目標値は180〜200程度となっている。(APTTであれば40〜60程度) *PCPS管理中など…

PCPS管理中にドブタミンを使うべき状況

PCPS管理中にドブタミンを使うべき状況 心筋梗塞、心筋炎など心機能が落ち込むことによってPCPS導入する場合は心停止に至らないようにPCPS導入前にドブタミンなど強心薬の投与を開始されていることが多い。しかし、PCPSが開始となった場合は自己心が動かなく…

重症下肢虚血(CLI)を有する患者への対応

✅重症下肢虚血(CLI)を有する患者への対応 重症下肢虚血とは下肢の疼痛や組織欠損を引き起こし、日常生活に多大な制限が生じるのみならず、感染の進行や全身性炎症反応を惹起するなど、短期間のうちに、生命を脅かす可能性があるもの。または、安静時疼痛・潰…

ECMO管理中の抗生剤

ECMO管理患者に予防的抗生剤をどうするべきか ECMO管理患者においての予防的抗生剤のエビデンスはないと言われている。ECMO回路自体が炎症反応を惹起させるために血液検査におけるWBCやCRPの上昇は感染症が原因とは言えずに当てにならない。また体温に関して…

PADで間欠性跛行を有する患者への対応

✅間欠性跛行を有する患者への対応 間欠性跛行を呈する患者にはABIをなど客観的な検査を行う。もし、ABIで正常値であったとしたら運動後のABIを測定する。血行再建術を考慮する症候性患者では下肢動脈超音波検査、CTA、MRA、下肢造影など行う。 血行再建術を…

PCPSの離脱基準:VTI(速度時間積分値)

PCPSの離脱基準:VTIに関して 左室流出路における速度時間積分値(VTI)はパルスドップラーを用いて測定する1回拍出量の測定値。通常の心不全管理においてはVTI15cm以下では低下、10cm以下では高度低下とされているが、PCPS管理患者においてはVTI10cm以上が…

PCPS中の心機能の立ち上がりの評価:SvO2

✅PCPS患者のSvO2での心機能の立ち上がりの評価 PCPSからの離脱を試みるとき、どの程度心機能が立ち上がってきているかが重要である。 心機能の指標として 血圧・・・最も一般的な指標だが末梢血管抵抗に左右されるので必ずしも心臓の機能を正確に反映すると…

検診で蛋白尿1+の患者は医療機関を受診させるべきか

・蛋白尿1+以上の検診患者は蛋白尿ーの受検者と比べると末期腎不全への進展リスク、心血管死や総死亡などのリスクが明らかに高いことが示されている。 ・例えば eGFR 正常群において 心血管死のハザード比は尿蛋白(-)に比べて(±)で 1.47,(1+)で 1.88,(2+…

PCPS管理中のCI(心係数)について

PCPS管理中の心係数(CI)について 肺動脈カテーテルによる心係数測定は正確性が落ちると言われている。 肺動脈カテーテルで持続モニタリングでCIを測定するときは熱希釈法を用いてされる。カテーテル先端から14〜25cm程度の所にあるサーマルフィラメントで…

無症候性ASO患者への対応

✅無症候性ASO患者への対応 症状が何もないにも関わらず、スクリーニング検査などでABI<0.9もしくはその他画像検査で下肢動脈の狭窄が指摘できた場合は無症候性ASOと考える。 なぜ、症状がないのか? ①体を動かさなくて虚血症状が出にくい場合 ②下肢筋肉のエ…

PCPS:mixing zoneについて

VA-ECMO中の管理について ・mixing zone がどこにあるのか考える PCPS管理中は自己心とPCPSによる送血パワーによってどこにmixing zoneがあるかが変わる。 ・上行大動脈 心機能が非常に悪いときはmixing zoneは上行大動脈になる。 PCPSのflowが3-4L/分以上の…

非心臓手術時の抗血栓療法について

✅非心臓手術の時の抗血栓療法について *周術期は抗血小板薬の休薬に伴うステント血栓症のリスク上昇に加え、手術に伴う炎症による血栓形成性の亢進などが心血管イベント増加に関連している可能性がある。 *PCI治療後の非心臓病手術では推奨されるDAPT期間…

【文献】ペースメーカー・ICD植え込み手術でヘパリンブリッジするべきか

ペースメーカー・ICD植え込み手術でワーファリンを中断してヘパリンブリッジするべきか? 背景:ペースメーカーやICD植え込みが必要な患者でワーファリンを内服している人は多い。 ガイドラインでは血栓症リスクの高い患者はワーファリンからヘパリンブリッ…

CKD患者をいつ腎臓内科に紹介するべきか

CKD患者の腎臓内科への紹介基準(by CKDガイドライン2018) ・GFRだけでなく蛋白尿や血尿の有無が重要。(CKDにはIgA腎症やループス腎炎など腎臓専門医による治療を要する腎疾患が含まれるため、蛋白尿、血尿を両方認めるCKD患者は腎臓専門医に紹介が望ましい…

胸水と肺水腫の違い

基本的な言葉の整理です。 胸水と肺水腫は似たような言葉として捉えられがちですが違う病態です。 心不全における胸水も肺水腫も心機能が低下することによって、血液がうっ滞して血管内の圧力が高まることによって血管から間質側に体液が漏れ出てしまう現象…

徐脈の原因検索

⭐徐脈の原因検索メモ書き 心筋虚血(房室ブロックであれば右冠動脈の閉塞による関与を考える。右冠動脈の血流低下で洞房結節枝や房室結節枝への血流低下による) 心サルコイドーシス(心エコーで中隔基部の壁厚菲薄化の確認) 心膜炎、心筋症、アミロイドー…

肝性脳症を疑ったら

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◯肝性脳症の診断 肝性脳症とは肝硬変などの基礎疾患がある患者に何らかの誘因が加わって意識レベル低下や羽ばたき振戦などを呈している場合などに疑われるが明確な診断基準はなく、総合的に診断する他ない。特に意識障害に関しては他の原因を精査して除外さ…

失神患者の心エコーでどこを観察するか

失神患者の心エコーでどこを観察するか 心原性失神の評価目的に心エコーをする時に注目するところ ・局所壁運動低下: 明らかなアシナジーがあれば心筋梗塞の可能性を考える。 ・EF低下: 原疾患は何であれ(陳旧性心筋梗塞や心筋症やら)、EFが20〜30%と低…

「心原性失神の否定をお願いします」と言われたら

「心原性失神の否定をお願いします」と言われたら →無理です。完全な否定はできなくても可能な範囲内で疑わしいかどうか調べる。 ◯まずは病歴の確認 ・既往歴:心疾患や失神の有無。心電図異常などこれまでに指摘されていないか。 ・家族歴:家族での心疾患…

突然の腰痛+尿潜血で尿管結石と思い込まない

突然の腰痛+尿潜血で尿管結石と思い込まない 突然の腰痛で尿潜血も+だと多くの場合尿管結石であるが、決してイコールではない。 若年者であれば尿路結石の確率は高くなるが高齢者であれば尿の濃縮能が低下しており尿路結石発症率が下がり別の疾患の可能性…

尿路結石での超音波検査の意義と見え方

尿路結石でのエコーの意義と見え方 尿路結石の診断は病歴と尿検査(潜血陽性)、そして画像検査で行う。確定診断には腹部CTが有用であるが、被爆の問題を考えるとまずエコーで評価したい。 ⭕エコーでわかること →上部尿路の閉塞による水腎、水尿管の程度や、…

尿路結石の診断において尿検査はあくまで補助という話

尿検査は尿路結石疑いにルーチンで行われるが、尿潜血反応の尿路結石に対する感度特異度ともに十分高くなく(感度 67~84%、特異度 27~58%)あくまで補助診断に留まる。 突然の背部痛患者に対して尿検査で潜血+だけ確認して鎮痛剤処方で帰宅などは非常に…

尿管結石再発予防での飲水励行の効果

尿管結石患者には再発予防に水をしっかりと飲むように指導することが多いが、どの程度水を飲むべきで、またどの程度の効果なのだろうか。 慢性的な脱水などで尿量が少ない場合は、それに比例してシュウ酸カルシウム結晶が形成されやすくなるという報告がある…

スピロノラクトンとエプレレノンの使い分け

アルドステロン拮抗薬としてスピロノラクトンとエプレレノンがある。 商品名はスピロノラクトン:アルダクトン®25mgとエプレレノン:セララ®50mg アルドステロン拮抗薬はカリウム保持性の利尿薬であるためフロセミド処方患者の低カリウム血症予防目的で同時…

心不全治療でACE阻害薬とβブロッカーどちらを優先させるべきか

メモ ACE阻害薬に後でβブロッカーを追加で処方されることが多いが、βブロッカーをファーストラインの治療薬として選択するのが有益かどうかはわかっていなかった。 EF35%以下のHFrEF患者で比較した(CIBIS) III試験ではACE阻害薬とβブロッカーのどちらを先行…

大動脈解離後の日常生活の指導について

大動脈解離慢性期には一般的に日常生活の制限は必要としない。収縮期血圧低下効果の高いウォーキングや軽いランニングなどの有酸素運動(3〜5METs相当)を1日30分以上、週150分以上行うことが推奨される。軽度〜中等度の運動によって安静時の血圧を低下さ…

大動脈解離の画像フォローアップ間隔

大動脈解離ガイドライン2020では発症後の画像フォロー間隔を次の通りとしている ①発症1,3,6ヶ月後、以降は発症2年後まで6ヶ月ごと ②発症1,3,6,9,12ヶ月後 The International Registry of Acute Aortic Dissection (IRAD): new insights…