つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

外傷

横紋筋融解症に出会ったら

横紋筋融解症とは骨格筋の破壊によって筋肉成分が血管に流出することによりミオグロビンによる腎障害や電解質異常が起こる病態。 ◯横紋筋融解症の原因 ・直接的な筋障害(外傷、クラッシュ症候群、過度な運動、痙攣、熱中症、脱水) ・薬剤性(スタチン、フ…

外傷で肋骨骨折があれば胸部CTもとっておくべき

外傷で肋骨骨折があれば胸部CTもとっておくべき 胸部打撲などの主訴で救急外来を受診されて胸部レントゲン撮影で肋骨骨折を認めた場合、基本的には保存的な治療になる。が、肋骨骨折をするような外傷の場合、胸部レントゲンで気胸が映らなくても実は気胸を起…

気胸の重症度分類

気胸の重症度分類 胸部レントゲンで気胸を見つけたら重症度を評価する。 端的に言うと、 肺尖部が鎖骨より上にあれば軽度虚脱 完全に肺がしぼんでしまっている状態を高度虚脱 軽度虚脱と高度虚脱の間ぐらいのものを中等度虚脱 肺尖部が鎖骨の上か下かが1つ…

指ブロックの方法

◯指ブロックという局所麻酔方法 指の先端などを怪我した患者の縫合を行う際に、指先端に局所麻酔薬を注射しても広がりにくい上に、麻酔薬でむくんで縫合しにくくなる。よって指の根元の神経近くに麻酔薬を打つことで、指全体に麻酔をかける方法として指ブロ…

爪下血腫への対応

爪下血腫への対応 「ドアに指を挟んだ」、「重たいものを指に落とした」、「指を踏まれた」等によって爪下血腫が生じうる。爪下出血とは爪甲と爪床の間の閉鎖空間で出血が起こる状態。少量の出血でも内腔圧力が上昇して強い痛みが生じる。 【爪の解剖の復習…

化学熱傷への対応

酸性物質、アルカリ物質などに暴露された場合の対応メモ 【化学熱傷とは】 ・化学熱傷とは化学物質による皮膚や粘膜の損傷。 ・家庭での洗浄剤や漂白剤などでも化学熱傷の原因となりうる。 ・何を、どれだけ、どのぐらいの時間浴びたのかよく問診する。 ・特…

頭部外傷患者で(も)内服例の聴取が大事

頭部外傷患者で(も)内服例の聴取が大事 高齢者の頭部外傷においては必ず内服歴を確認する必要がある。とある報告*によるとワーファリンなどの抗凝固薬を服用している場合、神経学的所見が陰性であっても頭部CTで頭蓋内出血を認める例が25%とかなりの頻…

急性硬膜下血腫と硬膜外血腫の違い

硬膜下血腫と硬膜外血腫の違い (似ている病態の整理) 頭部外傷後に起こる頭蓋内血腫の似た疾患として硬膜外血腫と硬膜下血腫がある。 硬膜外血腫は文字通り硬膜の外側に血腫が出来るのに対して、硬膜下血腫は硬膜の内側に血腫ができる。 ●急性硬膜外血腫 …

テガダーム、ハイドロサイト、デュオアクティブ、ハイドロサイト、ソーブサンの違い

ERでよく使うドレッシング材(被覆材)の整理 ◯テガダーム(ポリウレタンフィルム剤):他のドレッシング材の固定材として用いられることが多い (↓テガダームの一例) テガダームなどのポリウレタンフィルムの特徴は粘着性があること、透明であること、防水…

猫、犬、人咬傷への抗菌薬投与は必要?

猫、犬、人咬傷への対応 ◯まず感染の予防としてまず大量の水道水で洗う 動物咬傷に限らずどんな傷でも言えることではあるが大量の洗浄水でブラッシングしながら洗浄。もしくは生理食塩水に18G針を指して高圧洗浄(ただし200ml以上)。 洗浄をして初めて…

野良犬に噛まれましたが大丈夫でしょうか?

野良犬に噛まれましたが大丈夫でしょうか?に対する説明。 日本国内で狂犬病が最後に報告されたのは1956年であり、現在では事実上撲滅されている。日本で見知らぬ犬に噛まれても狂犬病を心配する必要はない。狂犬病ウィルス自体が存在してない(確認され…

肩鎖関節脱臼への対応@救急外来

肩鎖関節脱臼への対応 肩鎖関節とは 肩鎖関節は鎖骨と肩甲骨の間の関節のことで、この関節の安定性は肩鎖靱帯(肩峰と鎖骨の間)、烏口鎖骨靱帯(烏口突起と鎖骨の間)、三角筋・僧帽筋(鎖骨の外側につく筋肉)により保たれている。 画像参照:http://kotos…

完全骨折と不全骨折の違い

骨折は骨折線によって完全骨折と不全骨折に分類される。 完全骨折とは 骨の連続性が完全に失われた状態。粉砕骨折、横骨折、斜骨折、らせん骨折などがある。 横骨折の一例:骨の短軸方向に骨折が起こり連続性がなくなっている。 画像参照:http://blog45.nee…

鎖骨骨折への対応(+画像)

【鎖骨骨折の単純レントゲンの一例】 画像引用:http://healthil.jp/16204 【受傷機転】 典型的には肩から転倒、鎖骨の直接強打など 【身体所見で見るべきもの】 視診で変形、腫脹、擦過傷、斑状出血の有無 圧痛点の有無と部位 神経症状の確認(腕神経叢の損…

外傷後にお風呂、お酒、タバコがだめな理由

捻挫や打撲、骨折など外傷後にお風呂、お酒、タバコがだめな理由 入浴は体温が上昇することにより熱を放散するために末梢血管が拡張して全身の血流がよくなる。すると受傷部位での血流も増大して炎症が増強される。患者には「シャワーはOK!」「湯船に浸かる…

鼻骨骨折への対応

鼻骨骨折への対応 ●受傷機転 スポーツ外傷、転落、自動車事故が多い。 ●身体所見 鼻骨骨折があれば通常明らかな鼻の変形を認め、鼻と眼窩周囲組織の浮腫と斑状出血を認める。また触診で鼻骨の軋音、陥凹、不整を認めれば鼻骨骨折の可能性が高い。 ●単純レン…

顔面外傷患者への対応

顔面外傷患者への対応 ・鎖骨より上に外傷あれば頚椎損傷を常に考える。 ・出血や腫脹が激しければ気道閉塞のリスクがあり気道確保を検討する(挿管困難であれば輪状甲状間切開) 【バイタル】 体温、血圧(外出血があればまず止血)、SpO2(気道の確保は必…

頸部捻挫(むちうち)へのアプローチ

頸部捻挫(むちうち)へのアプローチ 【受傷機転】 典型的には自動車の後部から衝突された時、頸が急激に伸展、屈曲することにより頸部痛が出現する。障害部位としては椎間関節、椎間板、椎間靭帯、頸筋、神経根などが傷害されうる。 https://jico-pro.com/c…

肩・上腕の外傷へのアプローチ(編集中)

・外傷全般的な話 受傷機転を必ず聞く(内科的疾患が隠れてないか) 四肢外傷であれば患側と健側を比較する 変形、疼痛、圧痛、叩打痛、腫脹の確認 (特に骨折部は軽く叩いても痛む) 感覚障害の有無を確認 運動障害の有無を確認 循環障害の確認 ・脱臼であ…

胸部外傷で考えるべき病態のゴロ

胸部外傷へのアプローチ ・まずは外傷初期診療のABCDE A:気道 B:呼吸 C:循環 D;中枢神経 E:脱衣と体温管理 ・胸部外傷のプライマリーサーベイで見逃してはならないもの (タフな3X)→超緊急 心タンポナーデ(cardiac tamponade) 気道閉塞(airway obst…

頭部外傷へのアプローチ

頭部外傷へのアプローチ ポイント ・外傷機転を聞く(他の内科疾患などないか) ・意識レベル、バイタルの評価と安定化 ・身体所見(頭蓋内圧亢進、頭蓋底骨折はないか) ・頭部CTはどんなときに必要か ・帰宅させて良いのか ・受傷機転を聞く なぜ頭部外傷…

ring testとは何か

ring testとは何か(別名:リングサイン、ハローサイン) 頭部外傷によって頭蓋底骨折が疑われた場合に行う試験である。 頭蓋底骨折によって頭蓋内の髄液が鼻や耳から漏れることがある(髄液鼻漏、髄液耳漏)。その際にその液体に髄液が混ざっているのかどう…

頸部外傷における頚椎レントゲンの適応(カナダ頚椎規定)

頸部外傷においていつレントゲンを取るべきか(カナダ頚椎ルール:canadian C-spine ruleというものがあるので紹介) ■以下のすべてを満たせば頚椎レントゲンは必要ない 【危険因子の存在が1つもない】 ・65歳以上 ・危険な受傷機転(100km/h以上の自動車…

頸部外傷における頚椎レントゲンの適応(NEXUS)

頸部外傷の際に頚椎レントゲンを取るかどうかの指標NEXUSというものがある。 (NEXUS:national emergeny X-radiography utilization study) ■鈍的外傷患者において次の5つが揃えば頚椎レントゲンは必要ない (NEJM343:94-99,2000) ・意識障害なし ・神経学…

破傷風ワクチン接種の適応

破傷風ワクチン(破傷風トキソイド)接種の適応 ■破傷風とは 嫌気性菌であるclostridium tetani(破傷風菌)が産生する神経毒素によって全身の強直性痙攣や弓なり反張をきたす重篤な疾患である。破傷風菌は芽胞の状態で土壌に生息しており、皮膚の創傷面から…

頭部CTの見るポイント”blood can be very bad”

頭部CTで見逃しをしてしまわないように漏れ無くチェックできるような語呂合わせを紹介。”blood can be very bad”(訳:血液はとっても悪いかもしれない) blood→blood(血液) 硬膜外血腫、硬膜下血腫、脳内血腫、脳室内出血、くも膜下出血 can→cistern(脳…

頭部外傷でCTを取るべきかどうかの適応

頭部外傷でCTを取るべきかどうかの基準 救急外来に頭部外傷で来た患者に頭部CTをとるべきかどうなのか。 重症度を以下のように軽度、中等度、高度に分けた場合、中等度〜高度が頭部CTの適応となる。 【軽度危険群】 症状:頭痛、めまいなど 対応:経過観察 …