腎臓
文献:Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease 腎不全患者へのSGLT2i(ダパグリフロジン=フォシーガ)の効果 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2024816 ・CKD患者におけるダパグリフロジンの効果判定の研究 (メソッド) ・eGFR…
・CKDの診断基準(2012年ガイドラインより) ①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らかで特に0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要 ②GFR<60mL/分/1.73m~2 GFRはeGFR算出式で計算する。 *eGFRは糸球体濾過量(GFR)…
✅鉄は血液中ではトランスフェリン蛋白に結合し運搬されている。 トランスフェリンの量が総鉄結合能(TIBC)。 そのうち、鉄が結合していないトランスフェリンの量が不飽和鉄結合能(UIBC)。 よって、TIBC=血清鉄+UIBCとなる。 https://vitaminj.tokyo/arc…
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1811744 JUNE13,2019 二型糖尿病は腎不全の原因として知られているがあまり有用な治療薬はない。 これまでの研究でSGLT2阻害薬は2型糖尿病患者の腎保護作用に働く可能性が示されており、今回そのRCTを行った。…
亜鉛欠乏でも貧血が起こる 赤芽球の分化、増殖にzinc finger proteinであるGATA-1が必要で、亜鉛欠乏があると赤芽球の分化や増殖が障害されて貧血が生じる。その他、造血促進ホルモンや赤血球の構成成分などにも亜鉛は必要である。 亜鉛欠乏による貧血の特徴…
・蛋白尿1+以上の検診患者は蛋白尿ーの受検者と比べると末期腎不全への進展リスク、心血管死や総死亡などのリスクが明らかに高いことが示されている。 ・例えば eGFR 正常群において 心血管死のハザード比は尿蛋白(-)に比べて(±)で 1.47,(1+)で 1.88,(2+…
CKD患者の腎臓内科への紹介基準(by CKDガイドライン2018) ・GFRだけでなく蛋白尿や血尿の有無が重要。(CKDにはIgA腎症やループス腎炎など腎臓専門医による治療を要する腎疾患が含まれるため、蛋白尿、血尿を両方認めるCKD患者は腎臓専門医に紹介が望ましい…
ACE阻害薬であれARBであれ、レニン・アンジオテンシン系を抑制する薬剤は血管拡張を含む様々な臓器保護作用があり、糖尿病やCKDのステージに関わらず、末期腎不全への進展や全死亡率を改善する効果が報告されている。 ただし、ARB,ACE阻害薬の問題点としては…
意識障害の鑑別で有名なAIUEOTIPSのうちのU=Uremia(尿毒症)は具体的にどのような状況下で疑うべきなのだろうか。 一般的には慢性腎不全が進行して尿毒症という状態になると、倦怠感、吐き気、食欲低下、頭痛、呼吸困難、出血症状など様々症状が出現しうる…
低カリウム血症のマネジメント ★低カリウム血症の鑑別 ・まず、腎臓からカリウムが排泄亢進してるのかどうか評価する 尿中K/尿中Cr比率≦22mEq/g Cr、TTKG<3〜5であれば腎排泄抑制 →腎からのK排泄抑制なのに低K血症ということはKの摂取不足、細胞内シフト、腎…
◯高カルシウム血症の評価、疫学 ・低アルブミン血症の場合は補正を行う。Ca補正値=Ca+(4-Alb) ・補正は必須であるが誤差が出るので正確な評価のためには血ガスによってイオン化Caの測定をする。イオン化Caの基準値は1-1.4a mmol/Lであるが大体8倍をしたら…
CKD患者への重曹の適応 ・CKD患者はHCO3-が低下することにより代謝性アシドーシスに至る ・HCO3-濃度低下とGFR低下速度、末期腎不全に至るリスクの関連が指摘されている。(HCO3-低下と腎アウトカム増加と関連していた) ・CKDガイドラインではCKDステージ4…
横紋筋融解症とは骨格筋の破壊によって筋肉成分が血管に流出することによりミオグロビンによる腎障害や電解質異常が起こる病態。 ◯横紋筋融解症の原因 ・直接的な筋障害(外傷、クラッシュ症候群、過度な運動、痙攣、熱中症、脱水) ・薬剤性(スタチン、フ…
尿量低下の原因と対応 ・尿量低下の基準 教科書的には正常尿量は1日1000〜1500mlであり、乏尿は400ml/day以下、無尿は100ml/day以下と定義される。 ICU管理下などではより細かく0.5ml/kg/時間以下の尿量を乏尿とされる。体重50kgの人では1時間25ml以下とい…
貧血をみたら何をチェックしたら良いのか 腎性貧血ガイドライン2015にわかりやすいフローチャートがありましたのでご紹介。 <参考> 貧血の鑑別診断に有用な検査項目 ・血算(白血球数,白血球像,Hb,MCV,網赤血球数,血小板数) 異常血球判定のため,白…
腎機能低下の原因と鑑別 採血で腎機能低下を認めた場合の対応 STEP1:以前の腎機能と比較する もともと腎機能が悪いのかどうか。 腎不全の既往のない患者の腎機能が悪ければ急性腎障害(AKI)。 もともと腎機能の悪い患者の腎機能が更に悪くなれば慢性腎不全…
アニオンギャップの計算とその意義 ◎アニオンギャップの式の導出 アニオンとは陰イオンのこと。ギャップとは差のこと。アニオンギャップとは陽イオンと陰イオンの差という意味で用いられる。 体内において陽イオンと陰イオンのそれぞれの合計は一緒。 陽イオ…
代謝性アシドーシスの際、身体はアシドーシスを補正しようと代償性アルカローシスになる。 HCO3-の基準値は22〜26mEq/l(平均24前後) PaCO2の基準値は35〜45mmHg(平均40前後) 代謝性アシドーシスであれば腎臓などに問題があり、アルカリ物質であるHCO3-が…
超音波検査における水腎症の見え方 水腎症とは尿の通過障害や過度の膀胱充満によって腎盂や腎杯が拡張した状態。 原因としては尿管結石や尿管腫瘍などによる閉塞、また先天性に腎盂尿管移行部が閉塞している場合、そして神経因性膀胱などによって尿路の通過…
慢性腎不全でインスリン必要量が減る機序 糖尿病患者ではインスリンがうまく分泌されない・働かないために治療としてインスリン注射が必要である。糖尿病が悪化すればするほどインスリン必要量も増えそうであるが、合併症として腎不全が進行するとインスリン…
近位尿細管細胞はなぜアンモニアを作る必要があるのか 人体は腎臓・肺から酸を排泄することでアシドーシスにならないように恒常性を保っているが、体内で不揮発酸が過剰に産生された場合や腎不全により中々酸が排泄できない場合は、体全体は酸性に傾いてしま…
尿蛋白の検査として一般的には試験紙法が用いられているが、これはアルブミン蛋白に対する反応性をみている。特徴としては、あえて感度を鈍感にすることによって生理的な蛋白尿を検出しないようにしている。つまり、健常人でも5mg/dlほどのタンパクは尿中に…
【JG細胞】 JG細胞(別名:顆粒細胞、傍糸球体細胞)は輸入細動脈の血管壁に存在しており、循環血漿量の減少や腎動脈狭窄などによって輸入細動脈にある圧受容体が圧力の低下を感知すると、JG細胞がレニンを分泌して血圧を保とうとする。因みにとはJG細胞とは…
多発性嚢胞腎とは多数の嚢胞が腎臓の両側に生じて腎機能の低下、最終的には腎不全に至る遺伝性疾患である。日本における頻度は10万人あたり10人前後。 遺伝形式としては常染色体優性と常染色体劣性の2タイプがあり、常染色体優性タイプでは成人(特に4…
血尿とヘモグロビン尿の違い 血尿とは尿に赤血球が混ざったものをいう。 血尿は混ざる血液量に応じて肉眼的血尿と潜血(顕微鏡的血尿)に分けられる。 ・肉眼的血尿…多量の赤血球が混ざることにより肉眼的に尿が赤くなる状態。尿1L中に1ml以上の血液が混ざる…
溶連菌感染後糸球体腎炎の治療でステロイド禁忌の理由 溶連菌感染後糸球体腎炎とはA群β溶連菌に感染してから2週間ほどして血尿、タンパク尿、浮腫、高血圧などを呈する疾患である。病態としては溶連菌の抗原が糸球体に沈着し、それに対して抗体が産生され…
慢性腎不全で低カルシウム血症になる機序 慢性腎不全になると糸球体濾過量が低下し、リンの排泄ができなくなるので高リン血症になる。すると副甲状腺からPTHが分泌されて高リン血症を解消するが、腎不全が進行するにつれて代償できなくなる。 高リン血症では…
血漿交換と血液吸着法の違い これらはともに除去療法(アフェレシス)と呼ばれていて、血液透析の親戚のような治療法である。 血漿交換というのは血球は通過できないが病因物質は通過できるぐらいの孔を持つ膜で病因物質だけ選択的に除去する方法。血漿内に…
糖尿病性腎症で摂取カロリーをむしろ増やすべき理由 糖尿病の三大合併症として糖尿病性腎症がある。治療方針として、厳格な血糖コントロール、降圧療法、蛋白制限食がある。 イラストはwebsite糖尿病ネットワークより引用 腎不全は上記のイラストのように5…
透析には二種類ある。血液透析(HD)と腹膜透析(PD)。 ■血液透析、腹膜透析それぞれの原理 血液透析:患者の血液を体外に一度取り出し、ダイアライザーと呼ばれる透析器の中を通すことで透析を行い、再び患者に戻す(患者から血液を取り出すことを脱血、ダ…