亜鉛欠乏による貧血はなぜ起こるか
亜鉛欠乏でも貧血が起こる
赤芽球の分化、増殖にzinc finger proteinであるGATA-1が必要で、亜鉛欠乏があると赤芽球の分化や増殖が障害されて貧血が生じる。その他、造血促進ホルモンや赤血球の構成成分などにも亜鉛は必要である。
亜鉛欠乏による貧血の特徴は赤血球数が減少し、正球性または小球性の貧血になり、TIBCの低下をきたす。鉄欠乏もある場合は小球性になる。
CKD患者では亜鉛濃度とHbは正の相関があり、亜鉛補充にってHbは上昇する。
また、亜鉛製剤開始後3ヶ月程度は貧血が改善傾向にあっても、半年程度立つとまた貧血が進行することがある。(亜鉛欠乏によって造血が亢進して鉄需要が増加することがあったり、また亜鉛製剤はCuを低下させるので銅欠乏による貧血を起こしてしまうこともある)
亜鉛欠乏の原因:
スポーツ競技者や腎機能低下患者で亜鉛欠乏は起こりやすい。スポーツ競技での亜鉛欠乏の原因は汗や尿からの亜鉛排泄の増加と考えられる。また、CKD患者での亜鉛欠乏は低アルブミン血症が考えられている。血中の亜鉛の大半はアルブミンに結合しているので、CKDでアルブミン尿を伴う場合は血中亜鉛も低下する。(eGFRと亜鉛濃度を調べた研究ではほぼ直線的な相関関係が見られる)。