咳喘息を疑ったら
咳喘息と喘息(=気管支喘息)の違い
◯咳喘息とは
中枢から末梢気道まで全体的に好酸球性の気管支炎を起こす病態である。病態としては気管支喘息(つまり喘息)と同じであるが、症状としては咳がメインという点で異なる。気道が過敏になっており風邪ウィルスや寒冷刺激などにより咳嗽発作が引き起こされる。咳喘息もそのうちの30%が気管支喘息に移行すると言われている。
咳喘息と喘息の最大の違いは咳喘息では聴診でwheezeが聞こえないこと。もしwheezeが聞こえたらそれは立派な喘息であるが、喘息の前段階の咳喘息では気道の狭窄がない、もしくは極軽度でありwheezeは聞こえない。
端的に言えば、咳主体の喘息が咳喘息。喘鳴主体の喘息が喘息。
◯咳喘息の診断基準
1,喘鳴を伴わない慢性咳嗽(3週間以上)
2,β刺激薬など気管支拡張薬が有効
他に、咳喘息の参考となる所見としては次のものがある。
・症状が夜間や早朝有意で日内変動がある
・末梢血や喀痰好酸球の増多、呼気中のNO上昇
・気道過敏性の亢進など
◯慢性咳嗽の鑑別を忘れずに
慢性咳嗽を主訴に来院される患者で咳喘息が原因だったということは頻度としては多いがその他の疾患の鑑別はしっかりとする必要がある。慢性咳嗽の原因としては、感冒後咳嗽、後鼻漏、心不全、COPD、結核、肺がん、間質性肺炎などたくさんある。
出来る範囲で他の疾患を除外して、咳喘息が疑われる場合は診断的治療として吸入ステロイドを試してもらい様子をみる。
◯咳喘息の治療
咳喘息の診断に時間をかけていて患者のQOLが日々低下している場合は早期に診断的治療をするのも可。
・軽症への対応(症状は週に1回程度、夜間症状が週に1回未満)
中用量吸入ステロイド薬+発作時に吸入SABA使用
⚠軽症でも低用量ICSでは症状コントロールがつかないことが多いので中用量から開始でも良い。
処方例
・パルミコート®200タービュフェイラー(ICS)1回2吸入1日2回
・オルベスコ®200μgインヘラー(ICS)1回2吸入1日1回
+発作時メプチンスイングヘラー2回などのSABA
・中等症への対応(症状が毎日、夜間症状も週1回以上)
中〜高用量吸入ステロイド±LABAまたはLTRA
発作時には吸入SABAも加える。
処方例
・シムビコート®タービュへイラー(ICS+LABA)1回2吸入1日2回
・アドエア®250μgディスカス(ICS+LABA)1回1吸入1日2回
⚠アトピー咳嗽との鑑別が困難な時はヒスタミンH1ブロッカーの併用も考慮
(アトピー喘息は気管支拡張薬無効、アレグラ等著効)
⚠ロイコトリエン拮抗薬も考慮(副作用少ないから使いやすい)
また追記します