神経内科
主訴:頭痛の無い閃輝暗点 ・閃輝暗点とは視野の中央部に輝く点が現れ、ギラギラとした稲妻のような模様なが徐々に拡大し、見えない部分も出現する視覚症状である。 ・閃輝暗点は典型的には20〰30分程度持続し、自然に改善する。 ・メカニズムは明らかになっ…
突然発症のめまい患者の診察で大事なのは中枢性めまいか末梢性めまいかの鑑別である。眼振含め中枢性めまいを疑う神経所見がない患者でめまいが持続しているとき、同アプローチしたら良いのだろうか。 頭部CTは急性期脳梗塞の感度が低いため陰性でも脳梗塞を…
主訴がめまいの患者が来院された時には基本的に一通りの神経診察をする。 特に小脳梗塞を疑い協調運動障害があるかどうかも調べるわけであるが、バタバタしているなどの理由で指鼻指試験だけで小脳症状はなしと考えられてしまうことがある。 小脳の運動調節…
めまい患者の対応でいちばん大事なのは脳血管障害による中枢性めまいなのか、それともBPPVや前庭神経炎などの末梢性めまいなのかの鑑別である。 神経診察が最も重要ということは言うまでもないが、眼振含め神経所見が全く異常のない場合はやはり画像検査に頼…
半側空間無視とは視覚性失認の1つ。視野障害で半分の空間を見えなくなっているのではなく、大脳の高次機能障害によって半側の空間に何か視覚性の刺激があったとしても反応したり順応することができなくなってしまった状態である。 多くの場合は、劣位大脳半…
◯針筋電図検査とは 運動単位の機能を評価するための検査。運動単位とは単一の運動ニューロンとそれに支配される筋繊維郡。つまり… 運動単位=脊髄前角細胞+軸索+神経筋接合部+筋繊維 ◯運動単位電位(MUP)とは 運動単位電位(MUP)とは1つの運動単位から…
深部腱反射の亢進・減弱を見ることによってどのレベルで脊髄にダメージがあるのか調べることが出来る。健常人で誘発されやすい五大反射(上腕二頭筋、腕撓骨筋、上腕三頭筋、膝蓋腱反射、アキレス腱反射)に関してはそれぞれの脊髄高位を覚えておくと何かと…
頚椎症を疑った時、もしくは除外する時に頚椎MRIだけ取って異常がなくてもそれでOKとしてはならない。頚椎は脊椎の中でも最もダイナミックに動く部分である。動きによって現れる病変(頚椎すべり症や環軸亜脱臼など)を見逃さないためにMRIに加えて前屈位+…
アルツハイマー型認知症の特徴メモ (認知症ガイドラインより抜粋) ◯アルツハイマー型認知症の特徴 1,潜在性に発症、緩徐に進行 2,近時記憶障害で発症することが多い 3,進行に伴い、見当識障害や遂行機能障害、視空間障害が伴なう 4,アパシー(無意…
デルマトームの使い方とその覚え方 ◯「しびれ」を主訴の患者が来たら しびれの原因が神経に由来するものだとすると、次のように分類することが出来る。 1,脳梗塞などの中枢神経の障害 2,脊髄炎や頚椎症などの脊髄の障害 3,手根管症候群や糖尿病性ニュ…
髄液中のIgGが上昇する病態として次の3つがある。 1,血液中IgGの増加 2,血液脳関門の破綻 3,中枢神経内でのIgG産生の増加(←IgG index高値) 髄液IgG indexを計算することで、IgGが高くなる理由を鑑別することが出来る。 IgG index= (髄液igG濃度/ …
脳梗塞発症4.5時間以内の場合、tPAによる血栓溶解療法の適応となる。 が、その虚血の範囲が中大脳動脈領域の1/3を超えるような広範である場合には逆に出血のリスクが高くなるため推奨されない。画像的に中大脳動脈領域がどの程度虚血になっているのかを少し…
頭部MRIでたまたま脳動脈瘤が見つかった時の考え方 ・脳動脈瘤はMRIの進歩により偶発的に発見される機会が多くなった。 ・径が3-5mm未満の動脈瘤や前交通動脈、脳底動脈、後交通動脈を含む内頚動脈の動脈瘤では偽陽性、偽陰性が多いので注意。 ・好発部位は…
◯悪性症候群とは 悪性症候群とはL-dopaなどパーキンソン病薬の急な減量・中断や抗精神病薬(ドパミン受容体遮断薬)の投与によってドーパミン神経系のの急激な機能低下が起こり、発熱、発汗・尿閉などの自律神経症状、振戦・筋強剛などの錐体外路症状、およ…
てんかん重積においてはジアゼパム(セルシン®、ホリゾン®)の静脈注射が第一に推奨される。5−10mgを1分以上かけて投与。停止しない場合は合計20mgまで。 静脈路が確保されていない場合はセルシン筋肉注射が行われることが多いが「てんかん診療ガイド…
ルンバールの前に頭部CTを取らないといけない状況 発熱に加えて項部硬直など髄膜刺激徴候があれば髄膜炎を疑って髄液検査をすることになるが、ルンバールは脳圧亢進状態で施行すると脳ヘルニアを起こすため禁忌とされている。 脳圧亢進は古典的には眼底鏡で…
筋萎縮の診察ポイントと鑑別診断まとめ ・ヒトの神経系において骨格筋を維持する系は一次運動ニューロン(上位運動ニューロ)、二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)、神経筋接合部、骨格筋でありこのいずれが障害されても筋力低下をきたす。 ・筋萎縮…
◯概要・原因 海綿静脈洞または上眼窩裂部に非特異的炎症性肉芽腫が生じることにより動眼神経、滑車神経、外転神経、三叉神経第一枝が障害される。 ◯症状 頭痛、眼痛、複視(眼球運動障害による) ◯診断基準・鑑別 国際頭痛学会によるトロサハント症候群の診…
ポリニューロパチーは単ニューロパチーが複数存在する状態。 以下。鑑別をおおざっぱに記載(中…) A、免疫性ニューロパチー ・ギラン・バレー ・フィッシャー症候群:運動失調、外眼筋麻痺、腱反射消失の3徴 ・CIDP(慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー)…
・救急外来受診患者の診察で重要なのは中枢性か末梢性かの鑑別。 ・眼振の見方には3つのパターンがある。 1、注視下 2、非注視下(Frenzel眼鏡着用下で、頭位眼振を見る) 3、電気眼振計(ENG)記録による検査 この中で、救急外来受診患者に行うのは主に…
吸引反射(sucking reflex)とは口唇を口角から中央に向かって舌圧子などですばやくこすると、口唇が収縮して口が尖らせたようになり乳児が乳を飲むのに似た運動を起こす反射。また、この時に口唇に接触したものを口の中に入れようとする反応が診られることが…
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)のメモ書き 【原因】 ウィルス感染やワクチン接種後に、自己免疫性機序が生じて血管周囲のリンパ球浸潤と中枢神経系の脱髄が起こる。原因ウィルスとしては麻疹、風疹、水痘が多い。ワクチン接種としては狂犬病、痘瘡、腸チフスなど…
大脳皮質基底核変性症の診断基準memo 難病情報センター、神経内科ハンドブック参考 1.主要項目 (1)中年期以降に発症し緩徐に進行し、罹病期間が1年以上である。 発症年齢は45−75歳。平均60歳で発症。 (2)錐体外路徴候(以下のうち2項目以上)①非…
他人の手徴候とは何か 片方の手が無目的に宇宙遊泳をするかのごとく、さまよう動作をすること。 自分の上肢が本当に自分のものかどうかわからなくなる状態で、本人の意図とは関係のない動作をする。無目的な動作どころか、もう片方の手の動作を邪魔すること…
感覚は表在感覚、深部感覚、皮質性感覚に大別される。 表在感覚→触覚や痛覚、温度覚が含まれる 深部感覚→振動覚や位置覚が含まれる そして皮質性感覚には二点識別覚、触覚、位置覚、運動覚、重量覚、立体覚、皮質性消去などがある。これらはBrodmannの1〜3…
失行とは、運動麻痺や運動失調、不随意運動などの運動麻痺がないにも関わらず、しかも行うべき動作を十分に理解しているはずなのに実行できないことを言う。 詳細な定義には教科書や専門家の間でも微妙なズレがあるようであるが概ね以下の通り ◯肢節運動失行…
把握性筋強剛とは何か 患者に手を強く握らせ、次に急に手を開くように命じてもしばらくは握ったまま手を開くことを出来ない現象を把握性筋強剛(把握ミオトニア)という。これは筋強直性ジストロフィーや先天性筋強直症、軟骨形成異常性筋強直症などで見られ…
◯U-fiberとは何か(=弓状繊維) 大脳白質は脳表側の皮質の神経細胞から連続する神経線維からなるが、白質の繊維のうち隣り合う脳回同士を連絡するものをu-fiberという。u-fiberは皮質直下を走行していて脳の水平断画像でUの字になるためこう呼ばれる。 この…
繊維自発電位(fibrillation potential)と陽性鋭波(positive sharp wave)について 筋電図検査におけるfibrillation potential、positive sharp waveは共に急性脱神経所見である。これらはいずれも下位運動ニューロンの障害もしくは筋疾患によって筋細胞膜が…
◯手根管症候群 ・手根管を通っている正中神経が圧迫されることによる末梢神経障害。中年女性に好発。反復的に手首を動かす職業に多い(洗濯、床磨き、マッサージなど)。夜間にしびれ症状が強くなり、夜中になるとしびれで目が醒める。手をふると少し楽にな…