つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

肢節運動失行と観念運動性失行、観念性失行の違い

失行とは、運動麻痺や運動失調、不随意運動などの運動麻痺がないにも関わらず、しかも行うべき動作を十分に理解しているはずなのに実行できないことを言う。

詳細な定義には教科書や専門家の間でも微妙なズレがあるようであるが概ね以下の通り

 

◯肢節運動失行とは

ごく基本的な日常的な動作(起立、歩行、口を開く、舌を出す、箸を使う)などをさせてみて、これらが出来ない場合は肢節運動失行である。中心回の損傷により、運動の記憶が障害され、運動の稚拙症が生じると考えている。硬貨をつまめない、ボタンを掛けられないといった症状がある。

責任病巣は中心前回であり、病巣と反対側の失行が出現する

 

◯観念運動性失行とは

手足などの単純な動作、あるいは単一の道具の単純な動作が口頭指示や模倣で実行できなくなることを観念運動性失行という。

上肢ではじゃんけんのグー、チョキ、パーなどの手付きや下肢では足で空中に円や三角を描くことができるか試験する。このような単純な行動を口頭命令で出来ないが、自発的運動では出来る場合を観念運動性失行という(ここがポイントで、自分では出来るが、命じられるとできなくなる)。

その他の例では:軍隊の敬礼のマネや、バイバイのように手をふる仕草、クシで髪をとかすしぐさなど。

責任病巣は、優位半球(左半球)の頭頂葉下部の広範な障害によって起こる。

 

◯観念性失行とは

複数の道具を系列的に操作することができなくなること。

例えばマッチ箱を渡して火を着ける仕草をしてもらう。すると吸ったことがあるないに関わらず健常人であればその仕草は出来るはずである。しかし、観念性失行のある患者ではマッチに火をつける方法、吸い方といったこと自体がわからなくなり実行できない。つまり、観念性失行とは物品使用動作手順の企画が困難になる状態である。

使用するべき道具とその用途を口頭で説明することができるにも関わらず、道具を使って動作はできない場合に観念性失行と診断される。

責任病巣は優位半球頭頂葉を中心とする広範な障害によって起こる。