つねぴーblog@内科専攻医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

crowned dens syndrome(クラウンデンス症候群)を疑ったら

crowned dens syndrome(クラウンデンス症候群)を疑ったら

 

✅概要

crowned dens syndrome(CDS:クラウンデンス症候群)とは軸椎歯突起周囲にピロリン酸カルシウムやヒドロキシアパタイトが沈着することにより急性の頚部痛を呈する疾患である。環軸関節に起こる偽痛風とも言える。偽痛風の好発部位は肩、肘、手、膝、足関節などであるが、この疾患では環軸椎に症状が起こる(偽痛風はどこにでも起こりうる)。歯突起に王冠状に石灰化が認められるためcrowned(王冠)+dens(突起)という。高齢者の頚部痛+発熱疾患では鑑別にはCDSを挙げる必要がある。

 

✅鑑別

鑑別としては髄膜炎やくも膜下出血、骨髄炎、化膿性脊椎炎、リウマチ性多発筋痛症など。CDS発症は60〜70歳と高齢者に多く、男女比は0.6:1と女性に多い。

 

必要な検査

・頭部〰頚椎CT:くも膜下出血の除外は必要。

・腰椎穿刺:髄膜炎の否定ができない場合に施行を考慮

・血液検査(WBC,CRP,PCTなど炎症反応評価。またリウマチ性多発筋痛症などの可能性も考慮する場合は抗核抗体なども測定しておく)

・血液培養(髄膜炎や化膿性脊椎炎、頸部膿瘍などの細菌感染が否定できない場合)

 

✅診断

・発症は急性であり症状は数日〜数週間持続するとされている。CDSは環軸椎の障害であるため頸部の回旋時に疼痛が強く、可動域制限も出現する。動かした時の頚部痛の増悪が特徴。CDSの2割程度の患者は頭痛も訴える。

・発熱に加え採血で白血球上昇、CRP上昇(時には10以上になることも)など炎症反応を伴うので訴えのはっきりしない高齢者だと不明熱として扱われることも。

・診断にもっとも重要なのは頚椎CT:歯突起後方の環椎十字靭帯に石灰化像を認める。名前の通り王冠を被っているような歯突起を認める。

・関節穿刺:環軸関節穿刺で関節液中のピロリン酸カルシウム(CPPD)の結晶の証明で確定診断できる(が、専門性の高い手技なので必須ではない)。

 

【CTの例その1】

f:id:tsunepi:20171009113543p:plain

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1100764

 

【CTの例その2】

f:id:tsunepi:20171009113638p:plain

整形外科 -

 

【CTの例その3】

f:id:tsunepi:20171009113453p:plain

https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/59/4/59_4_869/_pdf

 

【CT例その4】

f:id:tsunepi:20171009113810p:plain

https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0308500382/

 

✅ピットフォール

CTで環軸椎の石灰化像を認めたからイコールcrowned dens syndromeにはならないということである。高齢者であれば無症状であっても石灰化像を認める場合がある。

無症状・健常人でも5.7%の人に環軸椎の石灰化が認められ、高齢者ほど頻度が増す傾向があるとの報告あり(40−50歳:1%、50−60歳:3.8%、60−70歳:4.4%、70−80歳:7.3%、80−90歳:19%)*1

 

やはり臨床症状(突然の頚部痛)+CT画像で判断する。

 

✅治療 ・フォロー

対症療法が基本。まずはNSAIDsの内服。症状は劇的に改善する。予後は良好。

約4日間(1−9日間)程度で改善が認められる。

NSAIDSが効かない場合はステロイドで加療することもある(ステロイド使用の理由は、腎機能障害でNSAIDsが使えない、激しい痛み、痛みの遷延等)

 

偽痛風の一般的な原因検索として…

副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、ヘモクロマトーシス、低マグネシウム血症、低リン血症などは評価しておいても良いかもしれない。

*1:4)Zapletal J, Hekster REM, Straver JS, Wilmink JT, Hermans J. Association of transverse ligament calcification with anterior atlanto-odontoid osteoarthritis: CT findings. Neuroradiology. 1995;37(8):667-9