つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

適応

僧帽弁閉鎖不全症に対するMitraClipの適応について

MiltraClipはMRの外科手術が困難な患者に対するカテーテル治療として開発された。 2018年から一次性および二次性MRの両方に対して保険適応になった。 ⭕一次性MRに関して 一次性有症候性重症MR患者が対象で行われたランダム化比較化試験では生存率に差はない…

糖尿病治療で専門医に紹介が必要なケース

糖尿病というのは内科においては最もありふれた疾患の1つであり、プライマリ・ケア医が診ることも多いし、それなりに診られる必要がある。 一般に、糖尿病内科専門医に紹介するべき糖尿病は次の通り。 ◯1型糖尿病:絶対的にインスリンが必要な状態。◯高血…

ルンバールの前に頭部CTを取らないといけない状況

ルンバールの前に頭部CTを取らないといけない状況 発熱に加えて項部硬直など髄膜刺激徴候があれば髄膜炎を疑って髄液検査をすることになるが、ルンバールは脳圧亢進状態で施行すると脳ヘルニアを起こすため禁忌とされている。 脳圧亢進は古典的には眼底鏡で…

ステロイド投与時に骨粗鬆症予防は必要か

ステロイド投与により骨細胞・骨芽細胞のアポトーシス誘導に伴なう骨形成低下が起こり骨粗鬆症が生じることが知られている(ステロイド性骨粗鬆症)。日本におよそ200万人の患者がいるとも言われ軽視出来ない数である。 ガイドライン2014年度版による…

ステロイドカバーとは何か

ステロイドカバーとは… 常用薬として長期的にステロイドを内服している患者が手術や敗血症性ショックなど身体ストレスが加わる状況においては相対的にステロイドが欠乏しうる。それを避けるためにステロイドを一時的にいつもより多く投与することをステロイ…

PTGBDの適応

PTGBD(胆嚢ドレナージ)の適応は? イラスト参照:https://plaza.rakuten.co.jp/thm/342935/g710/ 中等症以上の急性胆嚢炎では原則手術により胆嚢摘出を行うが、手術が行えない場合はPTGBDなどの胆嚢ドレナージの適応となる。 手術が行えない場合とは以下の…

ピペラシリン・タゾバクタム(ゾシン®)はいつ使うか

ペニシリン系抗菌薬には ・天然ペニシリン(ペニシリンG) ・アミノペニシリン(アンピシリン、アモキシシリン) ・ウレイドペニシリン(ピペラシリン) ・βラクタマーゼ阻害薬との合剤(アンピシリン・スルバクタム、ピペラシリン・タゾバクタム、アモキシシ…

緊急下部消化管内視鏡の適応

下血においていつ緊急下部内視鏡検査を行うか 下部消化管出血は上部消化管出血に比べて安静のみで止血が得られることが多く、緊急で下部消化管内視鏡検査を行われることは少ない。 全身状態が安定していて、慢性的な持続出血や少量出血では十分な前処置を優…

メロペネムはいつ使うか

メロペネム(メロペン®)はいつ使うか、その適応 ◯メロペネムの作用機序 メロペネムはカルバペネム系抗菌薬の一種であり、βラクタム系抗菌薬に分類される。βラクタム環を有し、PBP(ペニシリン結合タンパク質)に結合し、細菌の細胞壁合成を阻害することで細…

軽度貧血の患者にすぐ輸血してはいけない理由

【貧血の基準】 成人男性 Hb14 g/dL未満 成人女性 Hb12 g/dL未満 高齢者 Hb11 g/dL未満 急性に消化管出血が起こっていてどんどんと貧血が進行している場合などでない限り、慢性の軽度貧血患者にすぐに輸血をしてはならない。例えば高齢者でHb9-10だと貧血の…

急性胆嚢炎の診断基準と入院適応

急性胆嚢炎の診断基準 急性胆嚢炎・胆管炎診療ガイドラインによると… 【急性胆嚢炎の診断基準】 ・マーフィーサインなどの腹部所見 ・発熱、CRP上昇、白血球上昇などの炎症反応 ・腹部CTや腹部エコーなどの画像検査 この3つを満たしているものを急性胆嚢炎…

便培養をいつ取るか

便培養の適応 便培養とは便に含まれる微生物を培養し、分離同定することであり感染性腸炎の原因菌の診断に必要になる。感染性腸炎には主にウィルス性の腸炎と細菌性腸炎とがあるが、ウィルス性腸炎の場合、細菌ではないので培養は出来ない。よって、便培養は…

肺炎疑いで胸部CTを取るべきかどうか

肺炎が疑われる患者において胸部CTの適応は? 肺炎の診断は ◯臨床症状(咳、痰、呼吸苦など) ◯血液検査(WBCやCRPなど炎症反応の上昇) ◯画像検査(X線やCTでの肺炎像) ◯抗原検査(肺炎特異的な尿中抗原、喀痰抗原) などを合わせて行われる。 つまり画像…

感染性腸炎で抗菌薬治療を考える時

感染性下痢症に抗菌薬は必要なのか。 感染性腸炎の原因は大きく分けてウィルス性と細菌性とがある。 抗菌薬は細菌を殺す薬なので当然であるがウィルス性腸炎には効かない。 逆に細菌性の腸炎であれば全例抗菌薬を使っていいのかというとそういうわけでもない…

ロキムコとは何か(→NSAIDS潰瘍の予防)

ロキムコとは何か ロキムコとはロキソニン+ムコスタを合わせた俗語。 NSAIDS鎮痛薬であるロキソニンは胃粘膜障害をしてしまうので、それを保護する意味合いで胃薬であるムコスタ(レバミピド)が一緒に処方されることが多い。ムコスタは胃粘膜でのプロスタ…

ICUでのストレス潰瘍の予防とその適応

ストレス潰瘍とは身体的および精神的にに何らかのストレスがかかることにより上部消化管に潰瘍が生じることを言う(文字通り)。ICUに入室するような患者では高度に身体的な侵襲を受けており、さらにそれに対する治療によっても医原性な侵襲が加わっている。…

髄膜炎疑いの患者に頭部CTは必要か

髄膜炎患者に頭部CTは必要なのか 発熱と頭痛を主訴に来院して項部硬直が陽性の場合、髄膜炎を強く疑い腰椎穿刺をして確定診断をすることになるが、髄膜炎患者には頭部CTが必要なのだろうか。 答えはYESで、腰椎穿刺をする前に頭部CTを取って頭蓋内圧を亢進さ…

救急外来でめまい患者に頭部CTを撮る意義

めまいを主訴に救急外来に来られる患者にほぼルーチンで頭部CTが取られることがある。が、頭部CTで問題がないからといって頭蓋内に病変がないと言えるものでもない。 頭部CTを取る意義は主に次の3点である。 ・脳出血がないか ・大きな脳梗塞がないか ・脳…

一時的ペーシングをいつ行うか

◯一時的ペーシングとは 洞不全症候群や房室ブロックなどによって症候性徐脈(徐脈によりめまいや失神、ふらつきなどの症状が現れること)が生じる場合、電気的に心筋を刺激して心拍数を増加させる一時的ペーシングが行われる。 一時的ペーシングは名前の通り…

頚椎カラーの解除基準

頸部より上の外傷の場合、頸椎損傷、脊髄損傷を念頭に置きながら対応する。救急搬送の場合は頚椎カラーで固定された状態で搬送されてくることが多い。頸椎、脊髄の保護は仰臥位で正中中間位として他動的な負荷をかけないようにするのが基本。また、体位変換…

気管挿管抜管の基準

抜管の基準 手術終了して、麻酔からの覚醒後に気管チューブを抜くことを抜管という。抜管を行う前に、患者本来の生理機能が回復していることを確認する必要がある。抜管は慎重に行われるべきであるが、無駄に長く入れていると患者の意識が覚醒してから強い不…

インフルエンザの診断基準と迅速検査の適応

インフルエンザの診断基準と迅速検査の適応 インフルエンザ診断マニュアルによると 「インフルエンザ流行期に以下の4つを満たす場合にインフルエンザと診断される」 ・突然の発症 ・高熱 ・上気道症状 ・全身倦怠感などの全身症状 非常に簡潔でわかりやすい…

動脈ラインの適応とその意義

動脈ラインの適応とその意義 動脈ライン(Aライン、artery line)は正確には観血的動脈圧測定という。つまり、動脈内にカテーテルを挿入し、動脈内の圧力をトランスデューサーでデジタル信号に変換して連続的に動脈圧をモニターすることが出来る。 画像参考…

NPPVの適応と禁忌

NPPVの適応と禁忌 NPPVをする前提 ・患者の意識が清明で協力的 ・循環動態が安定している ・高度な顔面外傷なし ・イレウスなどの消化器疾患なし ・気管挿管の必要なし(気道確保出来ていて、喀痰の排出が出来ている) 【NPPVの適応疾患】(NPPVガイドライン…

小児の頭部外傷でCTを取るべきかどうか

小児の頭部外傷でCTを取るべきかどうか イギリスのNICEガイドラインによると以下の場合を頭部CTの適応と定めている。 【NICEガイドライン:national institute for health and clinical health excellence】 1、5分以上の意識消失 2、5分以上の健忘 3、…

膝外傷でいつレントゲンが必要になるか(オタワ膝ルール)

膝外傷でいつレントゲンの適応になるか(オタワ膝ルール) 膝外傷患者においては骨折よりも靭帯の損傷や半月板損傷が多く、骨折を見つけるためにレントゲンをとっても意味のないことが多い。オタワでは医療費の観点から無駄なレントゲン撮影をやめようと膝外…

足首の捻挫でいつ骨折を疑うか(オタワ足関節ルール)

【”足首の捻挫”でいつレントゲンを取るか】 足首をひねった患者が来て、痛みが強い場合とりあえずルーチンでレントゲンを取られてしまうことが多いが、オタワでは無駄なレントゲン撮影を防ぐためにどういう時に骨折を疑うのか、レントゲンの必要がないかなど…

腹部単純レントゲンはいつ取るか

腹部単純レントゲンの適応 胸部レントゲンは肺炎を疑う時やあるいは健康診断など撮影する機会が多いが、腹部単純レントゲンは一般的に撮影頻度は少ない。どのような時に腹部単純レントゲンの撮影を考えるべきなのだろうか。 1,腸閉塞を疑う時 腸管が閉塞す…

腰椎レントゲンの適応

救急外来受診で腰痛を訴える患者の中で緊急性のある腰痛は3%程度しかない。およそ70〜80%は急性腰椎症、所謂ぎっくり腰と言われており特に治療をしなくても1ヶ月以内に軽快する。 ルーチンで腰椎レントゲンを取ることはコストの点でも放射線被曝の点でも…

帯状疱疹の入院適応

帯状疱疹とは水疱・帯状疱疹ウィルス(VZV)の再活性によって疼痛や皮疹が出現する疾患である。多くの場合は外来通院で治療可能でアシクロビルの内服で対応できる。 が、帯状疱疹はただの皮膚の痛みだけでなく、全身に合併症を起こす可能性があるので注意が…