ステロイド投与時に骨粗鬆症予防は必要か
ステロイド投与により骨細胞・骨芽細胞のアポトーシス誘導に伴なう骨形成低下が起こり骨粗鬆症が生じることが知られている(ステロイド性骨粗鬆症)。日本におよそ200万人の患者がいるとも言われ軽視出来ない数である。
ガイドライン2014年度版によると、ステロイド性骨粗鬆症のリスク因子として年齢、ステロイド1日平均投与量、骨密度、既存椎体骨折が挙げられている。
903例の臨床データの統計解析によると…
・年齢が1歳増加すると骨折リスクは2.4%高くなる
・プレドニン投与量が1mg/day増加すると3.8%高くなる
・既存骨折がある場合は骨折リスクは3.4倍高くなる
・骨密度は1%増加すると骨折リスクは2.1%減少する
・ビスホスホネート治療は骨折リスクを52.8%低下させる
ガイドラインでは経口ステロイド3ヶ月以上の使用中あるいは使用予定が有り、更にこれら4項目のスコアの重み付けをして合計3点以上を治療介入閾値として設定されている。
【4項目のスコア】(合計3点以上で治療介入)
◯既存骨折:なし→0点、あり→7点
◯年齢:50歳未満→0点、50−64歳→2点、65歳以上→4点
◯ステロイド投与量(プレドニン換算mg/day):
5未満→0点、5−7.4→1点、7.5以上→4点
◯腰椎骨密度(%YAM):
80以上→0点、70−80→2点、70以上→4点
3点というのはかなり低めな設定で、高齢者であったりステロイド7.5mg/day以上の使用があればそれだけで該当することになる。
ガイドラインで第一選択薬として推奨されるものはビスホスホネート製剤としてアレンドロネート(フォサマック®)やリセドロネート(ベネット®) (ベネットの名前の由来はboneにとってbenefitという意)。これらビスホスホネートが禁忌の場合は活性型ビタミンD3製剤などを検討する。
参考:ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン:2014年改訂版 http://jsbmr.umin.jp/pdf/gioguideline.pdf