つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

泌尿器

過活動膀胱の薬(β3刺激薬と抗コリン薬の使い分け)

過活動膀胱の薬(β3刺激薬と抗コリン薬の使い分け)メモ ・過活動膀胱における尿意切迫感は、昼夜を問わず頻尿の原因となり、膀胱排尿筋不随意収縮である排尿筋過活動に伴い尿失禁も起こしうる。 ・過活動膀胱に対して抗コリン薬、β3作動薬を使う。 ・過活…

過活動膀胱の診断基準

過活動膀胱の診断基準 ・過活動膀胱(OAB)は尿意切迫感、頻尿、夜間頻尿および切迫性尿失禁を伴いうる状態である。 ・尿が膀胱に貯留して膀胱壁が伸展すると、それが尿意となって大脳に伝わるが、その大脳への神経伝達が機能的に亢進すると尿意切迫感の出現と…

突然の腰痛+尿潜血で尿管結石と思い込まない

突然の腰痛+尿潜血で尿管結石と思い込まない 突然の腰痛で尿潜血も+だと多くの場合尿管結石であるが、決してイコールではない。 若年者であれば尿路結石の確率は高くなるが高齢者であれば尿の濃縮能が低下しており尿路結石発症率が下がり別の疾患の可能性…

尿路結石での超音波検査の意義と見え方

尿路結石でのエコーの意義と見え方 尿路結石の診断は病歴と尿検査(潜血陽性)、そして画像検査で行う。確定診断には腹部CTが有用であるが、被爆の問題を考えるとまずエコーで評価したい。 ⭕エコーでわかること →上部尿路の閉塞による水腎、水尿管の程度や、…

尿路結石の診断において尿検査はあくまで補助という話

尿検査は尿路結石疑いにルーチンで行われるが、尿潜血反応の尿路結石に対する感度特異度ともに十分高くなく(感度 67~84%、特異度 27~58%)あくまで補助診断に留まる。 突然の背部痛患者に対して尿検査で潜血+だけ確認して鎮痛剤処方で帰宅などは非常に…

尿管結石再発予防での飲水励行の効果

尿管結石患者には再発予防に水をしっかりと飲むように指導することが多いが、どの程度水を飲むべきで、またどの程度の効果なのだろうか。 慢性的な脱水などで尿量が少ない場合は、それに比例してシュウ酸カルシウム結晶が形成されやすくなるという報告がある…

気腫性膀胱炎とは何か

◯気腫性膀胱炎とは 気腫性膀胱炎とは大腸菌やクレブシエラ菌などガス産生菌が膀胱壁内にガス産生を行う膀胱炎であり、通常の膀胱炎よりも予後が悪い。若年女性などでは起こりにくく、コントロール不良の糖尿病患者や神経因性膀胱、尿道閉鎖などに好発する。…

主訴:血尿の鑑別メモ

肉眼的血尿で想起するもの 尿路感染症(膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎など) →排尿時痛や発熱の有無の確認 →CVA叩打痛や前立腺の圧痛の有無。 →尿検査、血液検査、培養 尿管結石、腎結石 →突然の側腹部痛、背部痛 →腹部CTで結石の有無を確認 →ブスコパンやボル…

精巣捻転と精巣上体炎の鑑別にはCRPが有用

精巣捻転と精巣上体炎の鑑別にはCRPが有用 Diagnostic accuracy of C-reactive protein and erythrocyte sedimentation rate in patients with acute scrotum. - PubMed - NCBIによれば ・精巣上体炎患者での平均CRPは6.8±4.7mg/dl ・精巣捻転患者での平均CR…

精巣捻転と精巣上体炎の鑑別

精巣捻転と精巣上体炎(副睾丸炎)の鑑別 精巣捻転は発症後6時間以上で不可逆的な障害が起こり、精巣が壊死するため急性陰嚢痛は否定されるまで精巣捻転として扱う。以下精巣捻転と精巣上体炎の違いを紹介。この表のような典型例であれば鑑別に難しくないよ…

プレーン徴候は精巣捻転の診断に有用か?

プレーン徴候は精巣捻転の診断に有用か? 【プレーン徴候の機序】 プレーン徴候(prehn徴候)とは急性陰嚢痛の患者に対して精巣を挙上することで痛みが増強する徴候である。精巣を持ち上げて痛みが軽快すれば精巣上体炎を疑い、痛みが増強すれば精巣捻転を疑…

急性前立腺炎の疑い方

急性前立腺炎の疑い方(メモ) 【イメージ図】 ◯原因 尿道カテーテル操作や前立腺生検が原因となりうる。 が、9割は原因不明。 ◯症状 排尿困難、尿意切迫感、頻尿などの尿路閉塞症状があればかなり疑わしい また、CVA叩打痛が無いことも大事(腎盂腎炎r/o) …

尿路結石発作が明け方に多いのは何故か

尿路結石発作が明け方に多いのは何故か 【尿路結石のイメージ図】 参照:第2章 腎・泌尿器領域の主な疾患 結石 尿路結石発作とは腎臓、尿管、尿道といった尿路に石が嵌頓することによって突然の激痛を生じることをいう。 Circadian pattern in occurrence of…

尿管結石疑いに腹部エコーはするべきか?

尿管結石の診断の1つとして腹部エコーが用いられることがある エコーは非侵襲的で簡単に実施できるが術者の熟練度も求められる検査でもある。 とある報告によると(Ultrasonography versus Computed Tomography for Suspected Nephrolithiasis) 救急医の実…

急性尿閉への対応

「尿がでません」で来院する救急患者への対応 ☆尿閉と無尿の違いは以下参照(尿閉と無尿の違いとその原因 - とある研修医の雑記帳)) ・どんな症状で来るか 排尿困難、残尿感、尿勢低下、尿線途絶、下腹部の不快感など ・原因となる内服薬の確認 抗コリン薬…

急性膀胱炎へのアプローチ(メモ)

急性膀胱炎へのアプローチ 【臨床症状】頻尿、尿意切迫感、排尿痛、恥骨上部の疼痛、血尿(出血性膀胱炎を合併していれば) 【発症経過】通常急激で発症から24時間以内に受診することが多い。 ROS(ー):発熱、悪寒、悪心、側腹部痛、肋骨脊柱角の圧痛 ●…

腎盂腎炎疑いへのアプローチ

腎盂腎炎;単純性と複雑性 尿路に基礎疾患のない健常人に起こる単純性腎盂腎炎と、尿路に基礎疾患のある患者に起こる複雑性腎盂腎炎にわけられる(基礎疾患とは尿路結石、腫瘍、前立腺肥大、尿路奇形、カテーテル留置など)。 急性単純性腎盂腎炎→ 好発:1…

膿尿と細菌尿の違い

膿尿の定義:尿沈渣で白血球を5個/HPF以上認めること。 細菌尿の定義:尿を1ml培養し、得られたコロニーから尿1ml中の細菌数を計算し、10万CFU/ml以上であれば正常よりも優位に細菌の多い尿(=細菌尿)とみなされる。尿検体は中間尿でも良い。また、カテ…

細菌尿=尿路感染症ではない

尿沈渣検査で細菌尿を認めるからといって尿路感染症となるわけではない。尿から細菌が検出されるが、特に症状を認めないことを無症候性細菌尿という。 無症候性細菌尿は若い健康的な女子でも5%ほど認められ、特に高齢者では40ー50%が無症候性細菌尿を…

尿定性検査(白血球、亜硝酸塩陽性)の意義の違い

尿定性における白血球{WBC)陽性と亜硝酸塩陽性の意味 尿定性検査 ・白血球陽性→白血球のエラスターゼ酵素への反応をみるもの。尿中に白血球が存在する、つまり膿尿であることを示唆するが必ずしも尿路感染症であることを意味しない。 例えば虫垂炎、膵炎、…

尿路結石へのアプローチ

尿路結石へのアプローチ@救急外来(ER) ポイント ・好発年齢は男性30−60歳、女性:50ー60歳 ・急性発症の側腹部、背部痛。痛みは強烈。 ・まずNSAIDS坐薬などの鎮痛薬必要(禁忌もある) ・尿路結石は基本的に除外診断。大動脈破裂など死にうる疾…

単純性と複雑性尿路感染症の違い(なぜ分類?)

単純性と複雑性尿路感染症の違い 膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎など尿路に関係する部位で起きる炎症を尿路感染症と呼ぶ 。その中でも膀胱炎と腎盂腎炎に関しては単純性尿路感染と複雑性尿路感染に分類される(起炎菌や再発頻度が変わってくるため)。 ・単純性…

エコーでの水腎症の所見と重症度分類

超音波検査における水腎症の見え方 水腎症とは尿の通過障害や過度の膀胱充満によって腎盂や腎杯が拡張した状態。 原因としては尿管結石や尿管腫瘍などによる閉塞、また先天性に腎盂尿管移行部が閉塞している場合、そして神経因性膀胱などによって尿路の通過…

精巣挙筋反射の消失とその意義(+動画)

精巣挙筋反射(挙睾筋反射)の消失とその意義 ◯精巣挙筋反射(cremaster reflex)とは表在反射の一種 表在反射とは皮膚や粘膜が刺激されることで筋収縮が引き起こされる反射。正常であれば、大腿の内側近位部をピンなどでこすると同側の挙睾筋が収縮して睾丸が…

高位精巣摘除術の高位とは何か

高位精巣摘除術とは精巣腫瘍に対する治療法および検査法である。 一般的に悪性腫瘍の治療において、腫瘍が局在しているならば外科的に、あるいは内視鏡的手技などによって切除することによって治療することが可能である。しかし、精巣腫瘍は手術によって容易…

多発性嚢胞腎で十分な水分摂取が推奨される理由

多発性嚢胞腎とは多数の嚢胞が腎臓の両側に生じて腎機能の低下、最終的には腎不全に至る遺伝性疾患である。日本における頻度は10万人あたり10人前後。 遺伝形式としては常染色体優性と常染色体劣性の2タイプがあり、常染色体優性タイプでは成人(特に4…

反射性尿失禁と切迫性尿失禁の違い

反射性尿失禁と切迫性尿失禁の違い 尿失禁とは意識的に抑制できない尿排泄の総称である。その中でも反射性尿失禁と切迫性尿失禁は少し似ている。 共通することは排尿反射がともに障害されているということである。排尿反射は正常であれば大脳から抑制されて…

尿閉で利尿薬や輸液禁忌の理由

尿閉で利尿薬や輸液禁忌の理由 尿閉というのは膀胱には尿がたまっているが尿がでない状態をいう。原因としては前立腺肥大症によって尿道が閉塞している場合や、神経因性膀胱によって排尿反射が低下して排尿がうまくいかないことなどが典型的な原因である。膀…

尿閉の原因

尿閉の原因 尿閉とは膀胱に尿がたまっているものの、排尿できない状態である。膀胱まで尿が到達していない(つまり尿が作られていない)無尿とは異なるので注意。 参考:尿閉と無尿の違いとその原因 - とある医学生の雑記帳 尿閉の原因としては尿路の通過障…

加齢で頻尿なる理由〜膀胱内圧の観点から

加齢で頻尿なる理由〜膀胱内圧の観点から 排尿のしくみ 年をとるとトイレが近くなるがそれは何故であろうか。 膀胱内圧の上昇と尿意の関係は比例的ではない。膀胱の最大容量はおよそ300ー500mlと言われているが、膀胱の最大容量に到達するまでは尿貯留…