尿路結石へのアプローチ
尿路結石へのアプローチ@救急外来(ER)
ポイント
・好発年齢は男性30−60歳、女性:50ー60歳
・急性発症の側腹部、背部痛。痛みは強烈。
・まずNSAIDS坐薬などの鎮痛薬必要(禁忌もある)
・尿路結石は基本的に除外診断。大動脈破裂など死にうる疾患を必ず除外。
・検査は尿検査、腹部エコーは必須。腹部CTも強力。
・血液検査は感染合併してないか、腎機能チェックなどに使える。
・8mm以下の結石では飲水などで自然排泄期待できる。
・10mm以上では自然排泄無理→泌尿器科で手術。
・好発年齢
男性30−60歳、女性:50ー60歳。年齢とともに再発率は上昇する。尿路結石発作を起こした人の半数は一度再発を起こす→既往歴で尿管結石起こしてないか必ず確認。(初回の発作から4年以内に再発することが多いと言われている)
・どのような痛みか
側腹部から背部にかけての急性の痛み
深夜から明け方にかけて多い
痛みは数時間持続(来院時には軽快していることも)
・NSAIDS坐薬で痛みを取る
痛みの種類や経過から尿路結石を疑えて、腹部エコーで水腎症が見られれば尿路結石と考えて鎮痛薬を用いる。NSAIDS坐薬が第一選択。
ただし…腎機能低下、脱水、高齢者などでは注意が必要。
・いくら尿路結石っぽくても大動脈瘤破裂の除外は必須
いかにも尿路結石の痛みであっても大動脈瘤破裂でも同じような症状を呈するので注意。死にうる。大動脈瘤破裂を腹部エコー、腹部CTで必ず除外する必要がある。(もちろん最近腹部CTなど取られていて大動脈瘤の存在が否定されていればその限りではないが)
・何の検査が必要か
◯腹部超音波
→必須。小さい結石は判別が困難なこともあるが、5mm以上の大きさでは感度特異度95%以上との報告もある。また、上部尿路の閉塞による水腎症は判別できるので閉塞性腎盂腎炎の診断にも使える。侵襲性0なのでしない理由はない。
◯尿検査
→肉眼的血尿のこともあれば尿潜血だけのこともある。が、感度は70−80%と陰性だからといって否定できるわけではない(結石が尿管を完全に閉塞したら潜血すらでないことも)。また特異度も30−40%程度に過ぎないので尿検査は参考の一つとして捉える。
◯腹部CT
感度、特異度ともに95%以上と非常に有用。が、被爆の問題もあるのでエコーで明らかな場合は必要ない。逆に言えばエコーに自身がない時は必須とも言える。また結石の大きさや正確な場所など多くの情報を教えてくれる。
◯血液検査
NSAIDS坐薬を用いるのには腎機能のチェックが欠かせない。また尿路結石に感染を合併することもあるので感染疑われたらやはり必要。
△腹部X線、KUB(腎尿管膀胱単純X線)は微妙
→尿酸結石やシスチン結石などは写りにくく、また大動脈の石灰化などと似ているため感度特異度ともに優れていない。エコーがある以上侵襲性のある腹部X線、KUBが優先されることはない。ただ、一般外来の尿管結石の経過フォローには有用。
・自然排泄可能かどうか
8mm以下の尿路結石は自然排泄が期待できるのでNSAIDS+水分摂取で経過観察。
10mm以上の結石では自然排泄は難しい。ESWL(体外衝撃波結石破砕療法)、TUL(経尿道的結石砕石術)など泌尿器科での治療。