精巣挙筋反射の消失とその意義(+動画)
精巣挙筋反射(挙睾筋反射)の消失とその意義
◯精巣挙筋反射(cremaster reflex)とは表在反射の一種
表在反射とは皮膚や粘膜が刺激されることで筋収縮が引き起こされる反射。正常であれば、大腿の内側近位部をピンなどでこすると同側の挙睾筋が収縮して睾丸が上昇する。尚、こする方向に関係せず出現する。
◯精巣挙筋反射消失の原因
精巣捻転、上位運動ニューロン障害、下位運動ニューロン障害、L1〜L2レベルの脊髄損傷、ヘルニア手術における腸骨鼠径神経損傷などが原因として知られる。ER的に最も大事かつ急を要するのは精巣捻転。
とある論文によると精巣挙筋反射の消失の精巣捻転に対する感度は96%,特異度は88%との報告もある(Clinical inquiries. How useful is a physical exam in diagnosing testicular torsion? - PubMed - NCBI)
診断においては左右差を比較すると 異常を検出しやすい。
◯精巣挙筋反射の機序:挙睾筋反射はL1とL2の脊髄神経を介した反射によって引き起こされる。 大腿の内側がこすられると、感覚神経である陰部大腿神経の分枝が刺激され、シナプスを介して運動神経である腸骨鼠径神経が刺激されることによる。結果として挙睾筋が収縮し、睾丸が上昇する。200人に1人の男児でこの挙睾筋反射が亢進しているという報告もあり、停留精巣と誤診されるケースもある。
【精巣挙筋反射のイラスト】
http://mikebarnkob.dk/2010/testicular-lift-off/
【精巣挙筋反射のイラストその2】
画像参照:Cremasteric reflex test | Bloomsbury Educational Ltd
【精巣挙筋反射の動画】
結局動画がわかりやすいです