つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

突然の腰痛+尿潜血で尿管結石と思い込まない

突然の腰痛+尿潜血で尿管結石と思い込まない

 

突然の腰痛で尿潜血も+だと多くの場合尿管結石であるが、決してイコールではない。

若年者であれば尿路結石の確率は高くなるが高齢者であれば尿の濃縮能が低下しており尿路結石発症率が下がり別の疾患の可能性が高くなる。

臨床症状的に似ていて、特に見逃してはならないのは大動脈瘤と腎梗塞である。

 

1、大動脈瘤

まず触診してみる。大動脈瘤径が3-4cmでは1/3で触知可能、径5cm以上でも75%程度触知可能と言われるが、体表からの触診には限界がある。高血圧の既往のある高齢患者では必ず鑑別として上げてエコーで評価する。

・超音波でみえる大動脈瘤の一例

f:id:tsunepi:20201005162349p:plain

例その2

f:id:tsunepi:20201005162557p:plain

 

2、腎梗塞

腎梗塞でも尿管結石と同じように突然の腰痛および嘔吐が出現し症状が似ている。

即腹部痛と尿潜血(+)であったから尿路結石とは言えない理由である。

腎梗塞は腎動脈に血栓などが詰まるために起こるので心房細動など不整脈が背景にあることがあるので心電図を確認する(洞調律でも否定はできないが)。

症状としては尿路結石と違い持続的で、血液検査ではLDHの上昇が特徴。その他にも白血球やCreの上昇も参考になる。腎梗塞の規模が大きいとむしろ尿潜血は陰性となることも多いので要注意。

→疑ったら造影CT施行で診断する。

若年の尿路結石疑い全員に採血施行するのは現実的ではないが、高齢者であったり不整脈の既往があったら採血は有用である。