つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

代謝内分泌

甲状腺結節への対応

甲状腺結節への対応 ・甲状腺結節は加齢とともに増加する。他疾患精査の際に偶発的に見つかることが多い。 ・甲状腺結節の原因として、過形成によるコロイド甲状腺腫、甲状腺炎、甲状腺嚢胞、甲状腺腺腫、甲状腺がんなどがある。 ・甲状腺がんのリスク因子:…

褐色細胞腫のスクリーンング(カテコラミンとメタネフリンの違い)

二次性高血圧症の鑑別診断として褐色細胞腫が挙げられる。 褐色細胞腫とはアドレナリンやノルアドレナリンなど交感神経に作用するカテコミンを産生する腫瘍である(副腎髄質から産生される)。 症状としてはカテコラミンが過剰に作用してしまうので、高血圧…

サイログロブリン(Tg)測定の意義

サイログロブリン(Tg)は甲状腺特異抗原である。 甲状腺濾胞上皮細胞のみで産生され、甲状腺ホルモンT3やT4は再ログリブリンのチロシン残基のヨード化と縮合により生成するため甲状腺ホルモン産生に必須。 甲状腺分化癌全摘術後の経過観察に有用。 甲状腺がな…

TgAbとTPOAb測定の意義

甲状腺機能低下症を見つけたらTgAbとTPOAbの測定を ・橋本病においてはTgAb(抗サイログロブリン抗体)、TPOAb(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)が陽性となる。どちらかが陽性であれば橋本病の組織病変があると考えて良い。橋本病の組織病変の有無と抗体陽…

低Na血症でサムスカ(トルバプタン)投与をいつ考えるか

低Na血症でサムスカ(トルバプタン)投与をいつ考えるか SIADHによる低ナトリウム血症においては、ADHが亢進して水の再吸収が亢進してしまうことにより低ナトリウム血症になっている状態であるので、ADHを抑制するサムスカは良い適応であると思われる。SIADH…

高カルシウム血症へのマネジメント

◯高カルシウム血症の評価、疫学 ・低アルブミン血症の場合は補正を行う。Ca補正値=Ca+(4-Alb) ・補正は必須であるが誤差が出るので正確な評価のためには血ガスによってイオン化Caの測定をする。イオン化Caの基準値は1-1.4a mmol/Lであるが大体8倍をしたら…

骨粗鬆症を疑ったら

骨粗鬆症に関してメモ ◯骨粗鬆症の診断 骨密度測定では若年成人骨密度YAM(yong adult mean)の80%未満を骨量減少、YAMの70%未満を骨粗鬆症と定義する。また、椎体骨折や大腿骨近位部の脆弱性骨折があればYAM<80%で骨粗鬆症と診断される。 *骨密度測定で…

甲状腺機能低下症を見つけたら

甲状腺機能低下症を見つけたら ◯甲状腺機能低下症の原因 ◯血液検査【甲状腺ホルモン系の解釈】 ・甲状腺ホルモンのFT3,FT4をまず見る。当然低ければ甲状腺機能低下、高ければ甲状腺機能亢進が疑われる。が、極微量のホルモンであるため測定にばらつきがある…

糖尿病でインスリン開始のタイミング

インスリン療法の適応と導入について 糖尿病患者において、食事療法・運動療法をして血糖コントロールが不十分であれば経口血糖降下薬を開始し、それでも血糖がなかなか下がらない場合はインスリン導入となる。 (以下治療の一般的なフローチャート) 糖尿病…

経口血糖降下薬開始のタイミング

経口血糖降下薬開始のタイミング 従来は新規の糖尿病患者には最初から薬を開始するのではなく、まずは3ヶ月間程度生活療法(食事療法+運動)をしてから考えると言われていた。SU薬が全盛の時代では低血糖リスクも有るため、最初から薬は使うなという意味が…

糖尿病患者HbA1cの目標の違い

◯年齢と血糖管理目標そもそも血糖管理の意味は動脈硬化・合併症の発症を抑制するため。高齢者と若年者では目標は違う。若年者と後期高齢者で先が余命が長くないような患者において同じ血糖目標で良いのか?いや、そんなはずはない。 若い人は先が長いので、…

糖尿病境界型への対応

検診で糖尿病境界型と言われたけど全く症状無し、という患者への対応 糖尿病の3大合併症(末梢神経障害、網膜症、腎臓疾患)は糖尿病になってから発症するが、動脈硬化などの心血管系のリスクファクターは境界型でもすでに糖尿病と同じように危険なので十分…

糖尿病治療で専門医に紹介が必要なケース

糖尿病というのは内科においては最もありふれた疾患の1つであり、プライマリ・ケア医が診ることも多いし、それなりに診られる必要がある。 一般に、糖尿病内科専門医に紹介するべき糖尿病は次の通り。 ◯1型糖尿病:絶対的にインスリンが必要な状態。◯高血…

低血糖発作へのアプローチ

低血糖患者が救急に搬送されてきたら・・・ ということはあまりないかもしれないが、意識障害や痙攣患者の迅速血糖測定をして低血糖が見つかるというのは救急でよくある。一般的には血糖が55以下で交感神経刺激症状、血糖55以下で中枢神経症状が出現するとも…

インスリン療法にてインスリン初期投与量の決め方

糖尿病患者が入院してきた場合、漫然とスライディングスケールでインスリン投与を続けるのは望ましくない。インスリンスライディングスケールでは高血糖になってからインスリン投与量を決めて下げるので、禁忌がない限りは生理的な血糖コントロールが可能な…

糖尿病患者へのアプローチ

糖尿病患者へのアプローチめも 【概要】 ・まずはインスリン依存状態か非依存状態か判断 ・経口血糖降下薬は低血糖を来さない薬を必ず少量から開始(SU薬は避ける。血管合併症のリスクの観点からは第一選択はメトホルミン、第二選択はDPP-4阻害薬、αGI)。 …

クワシオルコルとマラスムスの違い

クワシオルコルとマラスムスの違い +クワシオルコルでお腹が膨れる理由 【クワシオルコル】 ・クワシオルコルとは栄養失調の一形態でガーナ語に由来しており「受け入れられなくなった子」という意味。栄養素の中で、特にタンパク質不足で生じる。 好発は1−…

脂肪不足で脂肪肝になる理由

脂肪肝とは脂肪の摂取過剰で肝細胞に脂肪が蓄積していき生じる病態である。 が、面白いことに?脂肪の摂取不足でも脂肪肝になる。 タンパク質をつくる工場である肝臓では、アポリポタンパク質という脂肪の輸送に関わるタンパク質の産生が行われている。肝臓…

高尿酸血症への対応

日本痛風・核酸代謝学会の診断基準によれば男女を問わず、7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と定義されている。 ◯尿酸高値=痛風ではない 尿酸は人では溶解度が約7.0mg/dlと言われており、それ以上の高濃度になると尿酸は関節などに沈着して痛風を発症させる。 …

血清浸透圧と張度の違い

浸透圧と張度の違い 血清浸透圧の定義:溶液内のすべての溶質濃度を表すものである。 血清浸透圧の予測式 =2×Na(mEq/L)+Glu(mg/dL)/18+BUN(mg/dL)/2.8 血清浸透圧は上の予測式の通り、Na、グルコース、BUN(尿素窒素)の3つで規定されている。浸透圧を規…

高カリウム血症への初期対応

高カリウム血症の原因は↓記事参照 高カリウム血症の原因 - つねぴーblog ●高カリウム血症をみたらどうするか 1,まずはバイタルチェック。 高カリウム血症では徐脈を引き起こす(この原因は洞調律の消失による房室接合部調律。)必要になるかどうかは別とし…

高カリウム血症の原因

主に救急外来での話。 ・採血の前に 採血をしてしまえば高カリウム血症は拾い上げることができるが、それ以前にどういう患者で高カリウム血症を疑わねばならないか ・腎不全など腎機能低下が考えられる患者 ・頻呼吸を認める患者 ・意識レベル低下患者 ・シ…

SIADHの診断基準とその意義

●SIADHとは SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)とは名前の通り抗利尿ホルモンであるバソプレシンが血漿浸透圧に対して不適切に分泌されることにより水分過剰貯留となってしまう症候群である。希釈性低ナトリウム血症を呈する。 原因は非常に多く覚えら…

DKA/HHSへの初期対応

血糖異常高値への初期対応 救急外来に来た患者の採血で血糖が異常に高かった場合(300以上)、初期対応はどうするべきか。異常高血糖をきたす病態として重要なものとしては糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧高血糖症候群(HHS)がある。 ◯DKAとH…

尿ケトン陰性でもDKAは否定できないという話

尿ケトン陰性でもDKA(糖尿病ケトアシドーシス)は否定できないという話 糖尿病患者が脱水、著しい口渇、腹部症状などを呈している場合、糖尿病ケトアシドーシスなどが疑われる。糖尿病性ケトアシドーシスではインスリン欠乏状態になるために脂肪酸がエネル…

副腎クリーゼを診断するには

副腎クリーゼとは副腎機能が低下することにより鉱質コルチコイド、糖質コルチコイドが欠乏し、ショックに至る病態である。 【症状】 嘔吐、腹痛、発熱、、倦怠感、関節痛、食欲不振、意識障害などなど…。多様かつ非特異的な症状が見られる。これらの症状を複…

混合型インスリン製剤とその適応

混合型インスリン製剤とは 糖尿病患者において経口血糖降下薬を何種類か併用しても血糖コントロールが難しい場合は生理的なインスリン分泌が低下していると考えられ、インスリン療法の適応となる。本来であれば基礎分泌と追加分泌を両方補うことのできる強化…

GI療法(グルコースインスリン療法)とは何か

GI療法(グルコースインスリン療法)とはグルコースとインスリンを投与によって高カリウム血症を補正するための治療である。 インスリンは末梢組織(筋肉、脂肪)に働きグルコースと共にカリウムを血管から細胞内に移動させる働きがある。 【詳しく言うと…】…

強化インスリン療法とその適応

◯強化インスリン療法とは 強化インスリン療法とは頻回のインスリン注射によって血糖変動を健常者に近づける方法。健常者の生理的なインスリン分泌は基礎分泌と追加分泌からなるが、強化インスリン療法では速効型インスリンと持効型インスリンを併用すること…

甲状腺機能低下症で貧血になる理由(メモ)

甲状腺機能低下症で貧血になる機序(メモ) 1,エリスロポエチンの問題 腎性貧血甲状腺ホルモンは腎臓におけるエリスロポエチンの産生に関与しており、貧血が長引くとエリスロポエチンの産生の低下をきたし、骨髄における赤血球への分化を抑制してしまう。…