糖尿病でインスリン開始のタイミング
インスリン療法の適応と導入について
糖尿病患者において、食事療法・運動療法をして血糖コントロールが不十分であれば経口血糖降下薬を開始し、それでも血糖がなかなか下がらない場合はインスリン導入となる。
(以下治療の一般的なフローチャート)
糖尿病指摘
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食事栄養療法・運動療法(HbA1cが7%台であれば3ヶ月ぐらいはこれで様子を見る)
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経口血糖降下薬単剤で開始
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経口血糖降下薬3剤まで増量
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BOT療法(basal supported oral therapy)(基礎インスリン1回(トレシーバ®など)(空腹時血糖を抑えれば全体的に下る)。低血糖リスクが高いSU薬をもし使っているのであれば辞めたほうが無難。メトホルミンやDPP4阻害薬であれば持効型インスリンをプラスして構わない。実測体重で0.1単位/kgから開始。早朝空腹時血糖値を見ながら使用量を調整。通常はインスリンを2単位ずつ調整して、早朝空腹時血糖が80-120mg/dlを目標にする。
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basal plus療法(基礎インスリン+追加インスリン1回or2回)
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強化インスリン療法(基礎インスリン+追加インスリン3回)
*ただし、初診時であってもHbA1c9.0-10.0%以上あれば最初からインスリンを検討する。また、次のような状況でも生活指導や経口血糖降下薬を飛ばしてすぐにインスリンの開始を考慮しないといけない。
◯インスリンの絶対的適応
・1型DM
・糖尿病昏睡
・重度の肝障害・腎障害
・重症感染症・中等度以上の外科手術
・糖尿病を合併した妊娠
◯インスリンの相対的適応
・経口血糖降下薬3剤併用してもHbA1c8.0%以上続く場合
・空腹時血糖値250mg/dl以上
・随時血糖350mg/dl以上
・尿ケトン陽性(+)
・体重減少(月に1−2kg以上)
・ステロイド薬を使用中の場合
・中心静脈栄養中の場合