呼吸器
COPDにおける在宅酸素療法(HOT)の適応 ポイント HOTの導入にあたっては、有効と考えられる治療(薬物療法、呼吸リハビリテーションなど)が十分に行われている必要がある。 重症低酸素血症(PaO2≦55Torr,SpO2 ≦88%)を有する患者に1日15時間以上のHOTは推…
COPDに対する去痰薬の効果とエビデンスメモ。 咳嗽や喀痰はCOPD患者において早期から出現し、QOLを低下させる原因となる。 COPDでは喫煙習慣や繰り返す感染で、気道粘膜表面の線毛が傷つけられており、線毛運動が障害されると痰を外に出そうとする能力が低下…
◯呼気NO試験とは? 呼気一酸化窒素濃度(FeNO)試験は近年普及している検査。 喘息患者の呼気にはNOが健常人に比べて多く含まれることがわかってきた。 気道に慢性的な炎症が起こると気道粘膜でNO産生酵素が増えるため吐いた息に多く含まれるようになる。呼気…
◯テオフィリンとは テオフィリンはcAMPを増加させてプロテインキナーゼを活性化させることにより気管支平滑筋を拡張させる効果があり、気管支喘息やCOPDなどに有効とされている。気管支喘息に最初から投与することはないが、β刺激薬(メプチンなど)やステロ…
Q、ステロイドは内服より点滴のほうが良いのか? →喘息発作に対する全身ステロイドは点滴でも内服でも効果は変わらない。重症発作以上では内服が難しいこともあるので点滴のほうが無難だが、中等度であれば内服でも構わない。 ・喘息発作に対する全身性ステ…
◯喘息患者の入院適応 ・↓表の重症度分類で、高度および重篤の場合は入院の絶対適応。 ・中等度発作の場合であれば、吸入薬や全身ステロイド治療などで2−4時間の治療で反応不十分あるいは1−2時間の治療で反応なしの場合は入院適応。 ・救急受診までに症状…
喘息発作への初期対応 喘息の重症度には発作時と安定期の2種類ある。救急外来などで対応することになる発作時について説明する。 ↑引用:http://ryumachi.umin.jp/clinical_case/BA.html ◯ステップ1:軽度発作、苦しいが横になれる、日常動作ほぼ普通。SpO…
典型的な喘息発作であれば、発作性の呼吸困難があり、呼気時のwheeze更には早朝の咳を繰り返すという現病歴があり疑うことは容易であるが、だからといって気管支喘息と診断してしまうのは危険。GINAの診断クライテリアでも気管支喘息の診断に大事なこととし…
◯胸部レントゲン、CT まずは正面レントゲン画像を撮影。必要に応じてCT撮影。 典型的には上肺野を中心とした空洞性病変であるが、高齢者では誤嚥性肺炎などと区別がつかないことも多く、画像で結核の診断は難しいと考える。 ◯3連痰(痰培養検査、塗抹染色)…
結核診断の第一歩は結核を疑うことである(決して稀な疾患ではない) ◯アメリカのガイドラインによると次の状況で結核を疑う ・2−3週間以上続く咳+(発熱、寝汗、血痰、体重減少のうちの1つ以上) ・結核リスクの高い患者で原因不明の呼吸器症状が2−3週…
気管支炎=ウィルスや細菌が気管支の粘膜に侵入し、痰を絡んだ咳が出る。 肺炎=気管支炎より更に先の肺胞で炎症が起きている状態。バイタルサインに異常が出る。 気管支炎と肺炎の鑑別はレントゲンで肺野に浸潤影があるかどうか。 よって、肺炎のような症状…
◯肺炎の診断のゴールドスタンダードは胸部レントゲン。 咳嗽や喀痰、発熱など上気道症状があって肺炎を疑う時はまず胸部レントゲンで肺炎の評価をする。それでも肺炎像が認められない場合は、精査目的に胸部CT撮影となるのが一般的である。しかし、胸部レン…
COPDをいつ疑うか COPDとは診断ガイドラインでは次のように定義されている。 「有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患である。この気流制限には様々な程度の可逆性を認め、発症と経過が官女であり、労作時…
ARDSは肺炎などの感染症や重症外傷などによって高サイトカイン血症が生じることで血管透過性亢進によって引き起こされる肺水腫、高度の低酸素血症である。急激に進行する呼吸困難、胸部レントゲンで両側肺野全体のびまん性浸潤を呈することが多いとされる。 …
胸部CTを仰臥位で撮影すると健常者であっても肺底部背側にすりガラス影がみられることがある。仰臥位においては一番低い肺底部背側の静脈圧・リンパ管圧が高まり、肺末梢間質の容積が増えてしまうことにより、肺実質が圧排されてしまうからである(つまり無…
安定期のCOPDの管理(by COPD診断と治療のためのガイドライン2022) スパイロメトリーによるCOPD重症度分類 慢性症状の有無と%FEV1(吸った空気を一秒間でどのぐらい吐き出せるのか健常人に比べて何%かという値で気道制限を表す)で重症度判定を行う(なお…
FEV1%と%FEV1の違い(似ている用語の整理) FEV1は先に%がつくか、後に%がつくかで意味合いが異なる。 ◯まずFEV1(fored expiratory volume in 1second)について FEV1とは”一秒量”のことで息をいっぱいに吸い込んだときから出来るだけ早く息を吐ききる努…
肺炎球菌は莢膜という膜を持つため好中球の貪食に抵抗性を示す。 故に、肺炎球菌防御の主体は脾臓によるトラップということになるが、何らかの理由により脾臓摘出している患者では肺炎球菌の病原性をもろに食らうことになるため、抑えることが出来ずに短時間…
咳喘息と喘息(=気管支喘息)の違い ◯咳喘息とは 中枢から末梢気道まで全体的に好酸球性の気管支炎を起こす病態である。病態としては気管支喘息(つまり喘息)と同じであるが、症状としては咳がメインという点で異なる。気道が過敏になっており風邪ウィルス…
◯wheezeとは 下気道の細い気道が閉塞することにより聞こえる「ヒュー、ヒュー」というような高い雑音。笛音とも呼ばれる。原因としては気管支喘息や炎症などによって気道内の分泌物が貯留することが考えられる。 聴診で聞こえるのは主に呼気だが吸気に聴かれ…
気管支喘息には所謂診断基準は存在せず、問診、既往歴、呼吸機能検査、抗原検査から総合的に判断しなければならない。故に喘息の診断は難しい。 診断基準はないが、診断の目安はガイドラインに記載されている。(GINA criteria) 1,発作性の呼吸困難、喘鳴…
ちょっと似ている言葉の定義の整理 ◯喘鳴とは 聴診器無しで聴かれる異常呼吸音。喘鳴は吸気時に聴こえるか呼気時に聴こえるかで鑑別が変わる。吸気時の場合は上気道の狭窄を示唆するのに対して、呼気時の喘鳴は下気道の狭窄を示唆する。 ◯喘息とは 慢性の気…
喘息を示唆する病歴と身体所見(感度と特異度) どんな症状が喘息を疑う指標になるのか。その重要度合いメモ 【症状、検査】 喘鳴+呼吸困難:感度65.2%、特異度95.2%、陽性尤度比13.3 夜間呼吸困難:感度46.2%、特異度96%、陽性尤度比12 感冒の既往なく…
肺がんでノッチが見られる理由 ノッチ(notch)とは結節影に見られる切込み(凹み)のことであり、悪性腫瘍を示唆する所見である。悪性腫瘍ではがん細胞が無秩序に分裂、突然変異を繰り返すために部分部分で細胞増殖の速度は異なり、ガン組織の細胞構成は非常…
スピキュラ(supicula)と胸膜陥入像の違い 胸部CTにおいて肺野に結節影や腫瘤影に次の所見があれば悪性腫瘍を示唆する ・スピキュラ(棘) ・胸膜陥入像 ・全周性に辺縁不整 ◯スピキュラ スピキュラ(spicula)とは日本語で言うと棘。腫瘤表面から周りに出てい…
tree in bud appearanceとは胸部CTにおいて肺結核で見られる所見。 Tree-in-bud sign (lung) | Radiology Reference Article | Radiopaedia.org 【tree in budのイラスト】 小葉中心製の粒状影とそれとつながる細気管支において陰影が出現している。 http://…
トラムラインは(tram line)とは電車の路線の意味 トラムラインとは気管支壁肥厚を示す所見であり、電車の線路のように平行な2本の線としてCTで描出される所見である。健常人であれば中枢の部分で気管支が見られても、末梢に行くに連れて気管支は細くなってC…
メジコンとコデインの違い ◯メジコン®(デキストロメトルファン) ・中枢性非麻薬性鎮咳薬 ・適応:感冒、急性気管支炎、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺炎、肺結核、上気道炎にともなう咳や、気管支造影術および気管支鏡検査時の咳の治療時 ◯コデイン®(コ…
ある報告によるとレジオネラ肺炎は以下の項目が簡易の診断基準となりうる。 【レジオネラ6項目】 ・体温39.4度以上 ・痰がない ・血中Na<133mEq/l ・LDH>225U/L ・CRP>18.7mg/dl ・血小板<17.1万 この6項目中4項目以上満たせばレジオネラの可能性66%、…
ネブライザー付きマスクの流速は30L/分以上にする理由 例えば10L/分投与をすると、1秒あたりは167mlの酸素を投与することになる。患者の1回換気量を500ml、吸気時間を1秒とするとボンベからもらえる酸素は167mlのみでは足りないので残りの334ml(500…