脾臓摘出患者に肺炎球菌ワクチンを打つ理由
肺炎球菌は莢膜という膜を持つため好中球の貪食に抵抗性を示す。
故に、肺炎球菌防御の主体は脾臓によるトラップということになるが、何らかの理由により脾臓摘出している患者では肺炎球菌の病原性をもろに食らうことになるため、抑えることが出来ずに短時間で致命的になってしまうことがある。そこで、脾臓摘出患者では肺炎球菌ワクチンが保険で認められている。また平成26年から65歳以上の高齢者の保険適応にもなっている。
23価肺炎球菌ワクチン効果はメタアナリシスで髄膜炎や敗血症に対しては高い予防効果は認められているが、肺炎に対しての予防効果は明らかではない(肺炎は肺炎球菌以外にも様々原因はある)。
ちなみに脾臓がない患者で起こる感染症は肺炎球菌が50〜90%と多いが、次にインフルエンザ菌B型、そして髄膜炎菌も原因菌として挙げられる。他にもA群、B群連鎖球菌やクレブシエラなども挙げられるが、どういう訳かこれらは脾臓摘出後の患者に多く見られるわけではないとのこと(by感染症999の謎)。