つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

バンコマイシンはいつ使うか

【バンコマイシンとは】

・バンコマイシンは糖ポリペプチドでグリコペプチド系抗菌薬に用いられる。

・スペクトラムとしてはほとんど全てののグラム陽性菌(球菌、桿菌)に有効であり、殺菌的に働く。黄色ブドウ球菌に対して1958年から用いられるようになったが、実はペニシリンが開発される前から使われていたという。

・ペニシリン、セフェム系が台頭してきてからはバンコマイシンの出番はほとんどなくなったが、βラクタム系が全く効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が出てきてから抗MRSA薬として再度使われるようになる。

 

・βラクタム系に感受性のあるMSSAであればバンコマイシンを使う理由はなく、セファゾリンのようなβラクタム系が治療の中心になるが、βラクタムアレルギーがある患者であればグラム陽性菌感染症治療にバンコマイシンが使われうる。ちなみに殺菌能力はβラクタムの方がバンコマイシンよりも格上。

 

・その他、clostridium difficileの治療として経口バンコマイシンが用いられる。clostridiumは抗菌薬使用後などに、菌交代現象で出現し、偽膜性大腸炎の原因菌となる。経口でバンコマイシンを投与しても、分子量が大きいため消化管からほとんど吸収されないために腸管内のバンコマイシン濃度が非常に高くなる。腸管内にいるclostridium difficileをターゲットとする時はそのことが幸いしてより効率的に殺菌することができる。(逆に点滴でバンコマイシンを投与しても腸管にいるclostridium difficileは叩けない)。が、基本的にはメトロニダゾールを先に使用し、奏効しない場合のみバンコマイシンを使用する。

 

また追記します…。