市中肺炎と院内肺炎、医療介護関連肺炎の違い
肺炎は感染した場所(菌をもらった場所)によって原因菌の種類が異なり、違う臨床像を呈する。原因菌が異なると治療薬も変わってくることになるので肺炎は大きく市中肺炎と院内肺炎に分類されている。
【市中肺炎とは…】
病院外で日常生活をしていた人が発症する肺炎。もしくは入院後2日以内であっても市中肺炎として扱う。ウィルス性の上気道炎(風邪)に続発することもある。
主な原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ、クラミジア、ウィルス
市中肺炎のエンピリック治療ではこれらの菌をターゲットに行うことになる。
【院内肺炎とは…】
入院患者(入院後48時間以上経過)に発症した肺炎。もしくは何らかの基礎疾患を有して免疫力が低下している患者に起こる肺炎。
誤嚥性肺炎や抗菌薬仕様による菌交代現象など常在菌が原因となる内因性の院内感染と水道の流しやネブライザーや加湿器など水のあるところなどから感染する外因性の院内感染とがある。主な原因菌はMSSA、MRSA、緑膿菌、クレブシエラ、真菌など。
【市中肺炎でも院内肺炎でもない第三の肺炎】
入院しているわけではないけどよく病院に通院している、あるいは在宅介護を受けているなどの背景がある患者に起こる肺炎を医療・介護関連肺炎(NHCAP)という。
医療介護関連肺炎は市中肺炎と院内肺炎の中間に位置するような肺炎であり、死亡率も両者の中間程度である。割合としては誤嚥性肺炎がかなり多く含まれる。
◯医療介護関連肺炎の定義:以下のいずれかの項目を満たす人に発症した肺炎
1、長期療養型病床もしくは介護施設に入所している
2,3ヶ月以内に病院を退院している
3、介護を必要とする高齢者、身体障害者
4,外来通院で血管内治療を受けている(透析、化学療法、抗菌薬、免疫抑制剤など)