COPDの重症度分類と治療法
💡安定期のCOPDの管理(by COPD診断と治療のためのガイドライン2022)
💡スパイロメトリーによるCOPD重症度分類
慢性症状の有無と%FEV1(吸った空気を一秒間でどのぐらい吐き出せるのか健常人に比べて何%かという値で気道制限を表す)で重症度判定を行う(なお、重症度判定に用いられるFEV1は気管支拡張薬投与後の値)。FEV1%(FEV1/FVC)は中等度以上では適切に重症度を反映しないので重症度分類には用いない。
☆FEV1%と%FEV1の違い
FEV1%は一秒率のことで、努力肺活量のうちどれだけを1秒間で吐き出せたかの割合。
%FEV1は空気を一秒間でどのぐらい吐き出せるのか健常人に比べて何%かという値。
0期:COPDリスク群
→スパイロメトリーは正常、慢性症状有り(咳嗽、喀痰)
Ⅰ期:軽度COPD
→FEV1%(FEV1/FVC)<70%、%FEV1≧80%、慢性症状の有無は問わない
Ⅱ期:中等度COPD
→FEV1%(FEV1/FVC)<70%、50%≦%FEV1<80%、慢性症状の有無を問わない
Ⅲ期:重症COPD
→FEV1%(FEV1/FVC)<70%、30%≦%FEV1<50%、慢性症状の有無を問わない
Ⅳ期:最重症COPD
→FEV1%(FEV1/FVC)<70%、30%≦%FEV1predictedあるいは
50%≦FEV1predictedかつ慢性呼吸不全あるいは右心不全合併
💡病期ごとの薬物治療
COPDを症状と増悪歴で病期分類する方法もある(GOLD分類)
自覚症状は次のmMRCスケールとCATにより行う。(スパイロメトリーと違って患者の主観的
(GOLD病期分類)
縦軸に増悪歴、横軸に自覚症状でグループ分けを行う。
慢性期の薬物治療の目的は3つ:症状の緩和、肺機能の維持、急性増悪の予防
A期:有症状の時にSAMA頓用もしくはSABA頓用
(SAMA:アトロベントエアロゾル、SABA:メプチン)
B期:LAMA薬もしくはLABA
(LAMA:スピリーバ、LABA:オンブレス、ホクナリンテープ)
C期:ICSに加えてLABAもしくはLA抗コリン薬
(ICS+LABA:シムビコート)
D期:ICSに加えてLABA もしくはLA抗コリン薬 (C期と同じ)
(一言)
・COPDに対してはβ2刺激薬よりもムスカリン受容体拮抗薬の方が気管支拡張効果が大きいので初期治療にはスピリーバなどのLAMAを用いられることが多い。
・LABAはLAMAが使用できない患者やLAMA使用でも症状改善が乏しい患者に追加併用される。吸入ができなければLABAの貼り薬であるホクナリンテープを用いたりする。
・ICSおよびICSを含む吸入薬はLAMAやLABAでコントロールできない時のみに用いる。
・ICSを加えるメリットとしては喘息合併例の増悪を抑えることが出来る+好酸球性のタイプにも有効。デメリットとしては肺炎が増える。
(商品名の例)
◯SAMA(short acting muscarinic antagonist;短時間作用型ムスカリン受容体拮抗薬)
→例:アトロベントエアロゾル®
◯SABA(short acting β2 agonist:短時間作用型β刺激薬):
→例:メプチンエアー®
◯LAMA(long acting muscarinic antagonist;長時間作用型ムスカリン受容体拮抗薬)
→例:スピリーバ®レスピマット、スピリーバ®吸入用カプセル
◯LABA(longacting β2 agonist:長時間作用型β2刺激薬):
→例:オンブレス®、セレベント50ディスカス®、ホクナリンテープ®(経皮吸収型)
◯ICS(inhaled corticosteroid:吸入ステロイド)
→例:パルミコート®(由来:pulmo(肺、呼吸器で使う)+cort(コルチゾル(ステロイド)
◯ICS+LABA
→例:シムビコート®(由来:Symbiosis (共生) + Cortisol (副腎皮質ホルモン))、アドエア®、フルティフォーム®
◯LAMA+LABA
→例:ウルティブロ®(由来:究極を意味するUltimateと気管支拡張薬のBronchodilatorからウルティブロ)
○LAMA+LABA+ICS(トリプル製剤)
→例:①エナジア(ブリーズヘラー)、②テリルジー(エリプタ)
また追記します。