喘息の診断に有用な呼気NO試験とは
◯呼気NO試験とは?
呼気一酸化窒素濃度(FeNO)試験は近年普及している検査。
喘息患者の呼気にはNOが健常人に比べて多く含まれることがわかってきた。
気道に慢性的な炎症が起こると気道粘膜でNO産生酵素が増えるため吐いた息に多く含まれるようになる。呼気NO試験の良いところは特異度が高く、呼気NOが高ければ(特に40以上であれば)喘息である可能性は非常に高いと言える。
呼気NO試験による診断基準
21ppb以下:正常
22ppb以上:喘息の可能性あり(22ppbで感度90.8%、特異度83.9%)
37ppb以上:ほぼ確実に喘息(特異度99%)
もちろん1つの検査だけでの診断はご法度で、NOが高いから特に20〜40程度の上昇であれば現病歴や身体所見が喘息らしいかどうかが大事になってくる。
◯検査のピットフォール
偽陽性の原因として:アレルギー性鼻炎、ウィルス感染症
(喘息でなくてもアレルギー性鼻炎やウィルス感染では上気道に炎症が起こってNOが産生されてしまう)
偽陰性の原因として:過換気、喘息発作、喫煙
(喘息発作中では呼気が増えるのにNOの産生量はそう変わらないので濃度が低くなるからか?)
◯喘息とCOPDの鑑別にFeNOは有用か?
一般的にCOPDではFeNOは上がりにくいが、だからといって喘息と診断できるものではない。喘息とCOPD合併のACOSという概念もあり、問診含めて総合的な判断が必要。