副腎クリーゼとは副腎機能が低下することにより鉱質コルチコイド、糖質コルチコイドが欠乏し、ショックに至る病態である。
【症状】
嘔吐、腹痛、発熱、、倦怠感、関節痛、食欲不振、意識障害などなど…。多様かつ非特異的な症状が見られる。これらの症状を複数認めた場合、副腎クリーゼの可能性を考える。
【検査所見】
検査所見としては低血圧、低血糖、低ナトリウム血症、高カリウム血症、貧血、好酸球増多など。
【原因】
1,副腎不全既往の患者に感染や外傷などのストレスが加わりステロイド需要が増し、ステロイド供給が追いつかない場合。
2,長期ステロイド投与患者が感染などを契機に服用を中断した場合。ステロイドを外から補充していると副腎の機能が抑えられているので一気にステロイド欠乏状態となってしまう。
3,下垂体の障害によりACTHの分泌が低下した場合。ACTH低下で副腎からのホルモン産生も低下する(シーハン症候群、下垂体卒中など)
副腎クリーゼの診断基準
クリーゼの診断”基準”というものはないようである。
診断するには前述の症状と検査値から副腎クリーゼを疑い、視床下部・下垂体・副腎系の機能低下を証明するしかない。血中コルチゾールの値は診断の参考になるが、副腎クリーゼを疑われている段階では多大なストレスに晒されているので随時採血値を用いざるをえない。
血中コルチゾールの値で次のような目安はある。
血中コルチゾール3-5μg/dl以下ならば副腎クリーゼを強く示唆する
血中コルチゾール20μg/dl以上であれば副腎クリーゼは否定的
参考文献:「副腎クリーゼを含む副腎機能低下症の診断と治療に関する指針」
http://square.umin.ac.jp/endocrine/hottopics/20140311sinryousisin.pdf