低ナトリウム血症の重症度と補正方法
低ナトリウム血症をみたらまず鑑別するのは大前提として重症度に応じて補正をしていかなければならない。
●一日にどれだけ補正してよいのか
Naが120mEq/Lかつ神経所見あり(頭痛、嘔吐、意識障害、痙攣など)の場合は緊急で補正を開始する必要がある。急性の低ナトリウム血症は比較的急速に補正しても良いが、慢性の低ナトリウム血症はゆっくり補正しなければならない。(橋中心脱髄症候群を防ぐため)急性低ナトリウム血症の場合は一日12mEq/Lまで、慢性の低ナトリウム血症は1日8mEq/L以内で補正。慢性なのか急性なのかわからない場合は慢性のものとして対応する。
●緊急性があったら高張食塩水(3%食塩水)を使用
作り方:10%NaCl30mlと5%ブドウ糖液70mlを混合。もしくは10%食塩水120mlと生理食塩水(0.9%食塩水)380mlを混合しても3%生理食塩水になる。
・脳ヘルニアの危険がある場合
→3%食塩水を50〜100MLを10分かけて静注する
・中等度の神経症状がある場合(意識障害、嘔吐、一過性痙攣)
→3%食塩水を50-100MLを1時間かけて投与する。(1時間〜2時間に一度の採血でフォロー)
はじめの2−4時間は2-4mEq/L、次の20時間は4-6mEq/Lの補正が目標。症状の改善が見られるか、ナトリウムが125以上になったら3%NaClは中止。
●緊急性のない場合(軽症もしくは無症候性の低Na)
画像引用:Ryu-SCEO 〜琉球大学 医学部PBL勉強会〜 : 9月20日 「49歳男性 意識障害」
細胞外液量上昇で浮腫など、もしくは細胞外液量減少があり脱水あればまずその補正を行う。
細胞外液量が正常であるがNa濃度だけが異なっている場合はどうすればよいのか。
上の図に示すように、低ナトリウム血漿で細胞外液量が正常の場合の鑑別診断としてSIADH、MRHE、甲状腺機能低下症、糖質コルチコイド欠乏、下垂体・副腎機能低下症などがある。内分泌疾患が除外できればSIADH疑いとして対応することになる。(もちろん診断基準みる。ちなみにSIADHの治療は原疾患の治療、水制限、低張な輸液を避けるの3点。
追記・更新します。