腎盂腎炎疑いへのアプローチ
腎盂腎炎;単純性と複雑性
尿路に基礎疾患のない健常人に起こる単純性腎盂腎炎と、尿路に基礎疾患のある患者に起こる複雑性腎盂腎炎にわけられる(基礎疾患とは尿路結石、腫瘍、前立腺肥大、尿路奇形、カテーテル留置など)。
急性単純性腎盂腎炎→
好発:18ー40代の女性に好発
症状:高熱、悪寒、腰背部痛、悪心、頻尿、排尿時痛
複雑性腎盂腎炎→
好発:尿路に基礎疾患あり、小児、高齢者
症状:発熱や腰背部痛など軽微であることが多い
【腎盂腎炎の検査】
●身体所見:肋骨脊柱角(CVA)叩打痛(左右差が大事) 「痛い」ではなく「変な感じ」「張った感じ」などと訴える患者も多い
●血液検査:白血球、CRP上昇
●尿検査:膿尿(白血球>5/HPF)
■尿培養
抗菌薬投与前に尿培養、感受性試験のオーダーをする必要がある。
■血液培養
腎盂腎炎の患者の10%で血液培養陽性になるとのデータもある。
■単純CT
典型例では腎周囲脂肪式濃度上昇が見られる。
■造影CT
腎実質の濃度異常を検出できることもある。また、腎皮質の造影が保たれていることが腎梗塞との鑑別に有用。
・尿管結石や尿路閉塞を見逃してはならない
鋭い痛みや血尿がある場合は超音波やヘリカルCTで閉塞機転や結石がないか必ず確認する。尿路の閉塞に伴う感染の場合、解除しない限り抗生剤だけで治すことは出来ない。
・「いつもと様子の異なる高齢者」では腎盂腎炎も鑑別に挙げる
若年者では発熱や尿路症状、CVA叩打痛で腎盂腎炎を疑うことが可能であるが、高齢者では30%が発熱なし、20%が呼吸器症状、消化器症状を主訴にするとのデータもある。
Q、腎盂腎炎の入院適応は?
・重篤感のある患者:高熱、WBC高値、悪心嘔吐で水分摂取不可など
・妊娠中の患者
・免疫不全患者
・60歳以上の高齢者
が、基本的には腎盂腎炎が疑われる状況では高熱があって白血球も上がってることがあるので基本的には入院という方針になる。
Q、血液培養は本当に必要か?
腎盂腎炎では尿培養で原因菌が明らかになることが多く、血液培養を行っても治療方針に影響をあたえることが殆どないことから、既往歴のない単純性腎盂腎炎患者では血液培養を省略しても良いという考えもある。が、確定診断をするという意味でも血液培養はオーダーしておいたほうが無難である。
また追記します…。