つねぴーblog@内科専門医

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移転しました。

急性胆嚢炎の診断基準と入院適応

急性胆嚢炎の診断基準

 

急性胆嚢炎・胆管炎診療ガイドラインによると…

【急性胆嚢炎の診断基準】

・マーフィーサインなどの腹部所見

・発熱、CRP上昇、白血球上昇などの炎症反応

・腹部CTや腹部エコーなどの画像検査

この3つを満たしているものを急性胆嚢炎と診断する。

 

【急性胆嚢炎の重症度分類】

参照:TG13新基準掲載‐ 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン 2013

【重症例】以下の臓器障害の1つ以上を合併する場合は重症

・心血管系(昇圧剤を必要とする低血圧)

・意識障害

・呼吸障害(P/F比<300)

・腎機能障害(乏尿あるいはCr>2mg/dl)

・血液系(血小板<10万/μL)

・肝臓(INR>1.5)

 【中等症】

以下の1つ以上を満たす場合は中等症

・白血球18000/mm3以上

・右上腹部に圧痛を伴なう腫瘤あり

・72時間以上を超える症状

・著明な局所の炎症所見(気腫性胆嚢炎、壊疽性胆嚢炎、化膿性胆嚢炎、肝膿瘍、単純性腹膜炎) 

【軽症】

重症、中等症の基準を満たさない場合

 

 

【初期対応】

急性胆嚢炎は軽症であっても放置すれば悪化して敗血症、多臓器不全を引き起こしうる致死的な疾患である。よって診断が付けば速やかに治療を開始する必要がある。

重症度分類にかかわらず、急性胆嚢炎の診断が付けば絶食、輸液で全身状態管理のもと、抗菌薬治療は全例で施行し、重症度モニタリングの必要もあるので入院管理が原則である

 

軽症→

入院抗菌薬治療。胆嚢摘出術を考慮。発症72時間以内に胆嚢摘出術を行った場合は入院期間を短縮できる(炎症が周囲に波及しておらず手術で取りやすい)。

中等症

抗菌薬治療+全身管理、そして早期胆嚢摘出or胆嚢ドレナージ

重症→

抗菌薬治療+全身管理、そして緊急胆嚢摘出術or 胆嚢ドレナージ

 

 

【抗菌薬の選択】(by科学的根拠に基づく急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン)

軽症の場合→フロモックス®100mg3錠分3

中等症の場合→セフメタゾン1g1日2回

重症の場合→スルバクタム+セフォペラゾンナトリウム1g1日2回