メロペネムはいつ使うか
メロペネム(メロペン®)はいつ使うか、その適応
◯メロペネムの作用機序
メロペネムはカルバペネム系抗菌薬の一種であり、βラクタム系抗菌薬に分類される。βラクタム環を有し、PBP(ペニシリン結合タンパク質)に結合し、細菌の細胞壁合成を阻害することで細菌を死滅させる。よって、細胞壁を持たないマイコプラズマやレジオネラなどには効果がない。
メロペネム(カルバペネム系)は他のβラクタム系とどう違うのか
・結合できるPBPの種類が豊富
・非常に広範囲のβラクタマーゼに対する安定性
・高い細胞膜通過能力を持つため、好気性・嫌気性を問わず非常に多くのグラム陽性・陰性菌をカバーできる
◯【メロペネムが効かない微生物】
(レジデントのための感染症診療マニュアル参照)
・グラム陽性菌:MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、クロストリジウム・ディフィシル
・グラム陰性桿菌:クレブシエラなどカルバペネマーゼ産生菌
その他:マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア、リケッチアなどの非定型菌、真菌、スピロヘータなど
◯メロペネム(カルバペネム)の適応
・メロペネムの本当の利点は強力なグラム陰性桿菌活性である。
・グラム陽性菌や嫌気性なども幅広くカバーできるが、カルバペネムが第一選択というわけではなく、むしろ他の抗菌薬のほうが適している場合が多い。(カルバペネムは切り札であって、重症感染症だからと言ってとりあえずの使用はするべきでない)
【具体的な適応】(レジデントのための感染症診療マニュアル参照)
・重症の院内感染(院内感染だと他の抗菌薬に耐性を持っている可能性が高い、バイタルが崩れたりしている場合だと薬剤感受性を調べている余裕がない)
・発熱性好中球減少症に対するエンピリカルな治療
・複数のグラム陽性・陰性、好気性、嫌気性菌が問題となる院内発症の腹腔内感染症や壊死性筋膜炎など
・原因不明な中枢神経感染症(髄膜炎、脳膿瘍)
など
◯カルバペネムを使っては行けないシーン
・外来患者にいきなり使う(カルバペネムは半減期1時間ほどで一日一回投与に向いていない。ERで点滴してまた明日外来受診して下さいという方式では効果がないばかりか耐性菌を生み出すもととなってしまう)
また追記/更新します。