一時的ペーシングをいつ行うか
◯一時的ペーシングとは
洞不全症候群や房室ブロックなどによって症候性徐脈(徐脈によりめまいや失神、ふらつきなどの症状が現れること)が生じる場合、電気的に心筋を刺激して心拍数を増加させる一時的ペーシングが行われる。
一時的ペーシングは名前の通り、一時しのぎに過ぎない。よって薬剤性や急性心筋梗塞、心筋炎などが原因で起こる徐脈など急性期を凌げば徐脈の改善が期待される場合は良い適応となる。また、洞不全症候群や完全房室ブロックなどは恒久的なペースメーカー(PM)植え込み術の適応になるが、PM留置はすぐにできない上に時間がかかるためとりあえずは一時的ペーシングをして凌ぐことになる。
*逆に一時的ペーシングをしないケース
徐脈があって何らかの症状を伴えば基本的には適応になる。一方で多少の徐脈があっても症状を呈していない場合は一時的ペーシングをせずに経過観察し、直接PM留置を行う場合もある。具体的には・・・無症候性の洞停止(3秒以下)や房室ブロック(HRは40以上程度で安定した補充調律で正常QRS波形(120msec以下)などのケース。
◯経皮的ペーシングと経静脈的ペーシングの違い
経皮的ペーシングとは皮膚の上からパッドを貼り、心筋を電気的に刺激する。が、鎮痛薬を必要とする場合もあるので早急に経静脈的ペーシングに移行するべきである。
【経皮的ペーシングの一例】
画像参照:http://aha-bls-acls-okayama.seesaa.net/article/148534928.html
経静脈的ペーシングとは鎖骨下静脈や内頸静脈から電極リードを挿入し、右心房や右心室まで到達させて電気的に興奮させる。
【経静脈的ペースメーカーのイラスト】