手を握りしめる動作で手根管症候群が増悪する理由
◯手根管症候群
・手根管を通っている正中神経が圧迫されることによる末梢神経障害。中年女性に好発。反復的に手首を動かす職業に多い(洗濯、床磨き、マッサージなど)。夜間にしびれ症状が強くなり、夜中になるとしびれで目が醒める。手をふると少し楽になって眠れるなどが典型的なエピソード。
【身体所見・検査】
・正中神経麻痺なので支配領域に一致した領域に異常感覚が出現、母指球筋の萎縮が起こる。
・横手根靭帯を圧迫すると疼痛が出現
・手関節屈側で正中神経をハンマーで叩くと痛み出現(ティネル徴候)
・レントゲン上は異常なし。末梢感覚神経伝導速度検査が早期診断に有用。
【手を握りしめる動作で増悪する理由】
正中神経は横手根靭帯を通っているが、その他にも親指を除く4本の屈筋腱が上腕の筋肉から指まで伸びていて、正中神経と一緒に靭帯のトンネルを通っている。よって手を握りしめたりするように屈筋腱に緊張がかかるような仕草をするとどうしても神経が圧迫されてしびれ症状が出現してしまう。
また、手根管症候群は全身がむくむような疾患でも出現しうるので注意。甲状腺機能低下症、先端巨大症、アミロイドーシス、糖尿病など。