腰椎椎間板ヘルニアへのアプローチ
腰椎椎間板ヘルニアのメモ
(記事の再構築予定…)
◯腰椎椎間板ヘルニアの概要
好発年齢は20〜40代と若年に多い。ヘルニアの中で腰椎ヘルニアが最も多い。
後側方へのヘルニア脱出が多いので健側と患側が出来る(稀に中央でヘルニア)。
好発部位はL4/L5の間とL5/S1の間。この2つでおよそ9割。
L4/L5から出ているのはL4の神経根であるが、障害されるのはL5の神経根。以下のイラストのようにL5神経根はL4/5椎間板を横切るために圧迫を受けるがL4神経根はL4/5椎間板を横切らない。
【イメージ図】
画像参照:https://www.slideshare.net/masatoshimizu37/6-52653869
◯症状・誘引
重たいものを持ち上げた後やスポーツ、肉体労働後など動作を契機に発症することが多い。身体を動かせないほどの強烈な腰痛を訴える。2−3日安静にしていると腰部全体の痛みは軽減し、代わりに圧迫を受けている神経根に一致する下肢痛を訴える。尚、第1腰椎以下は馬尾なので原則として脊髄圧迫症状は出現しない。ただ、中心性の巨大ヘルニアの場合、馬尾圧迫症候群を引き起こしうる。
◯脊椎椎間板ヘルニアで有用な診断基準
参考:腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン
◯脊椎椎間板ヘルニアで有用な病歴・身体所見
参考文献:jamanetwork.com
腰部・臀部〜足にかけての痛み(坐骨神経痛):感度95%、特異度88%→LR+7.9
筋力低下;感度27%、特異度93%→LR+4.1
アキレス腱・膝蓋腱反射の消失;感度15%、特異度93%→LR+2.2
下肢痛が腰痛よりも強い:感度82%、特異度54%→LR+1.8
デルマトームに沿った痛み:感度90%、特異度31%→LR+1.3
咳やくしゃみで増強:感度50%、特異度67%→LR+1.5
SLR試験(下に動画あり):感度92%、特異度28%→LR+1.3
対側SLR試験陽性:感度28%、特異度90%→LR+2.1
また、椎間板ヘルニアでは前屈時に症状が増悪しやすく、腰部脊柱管狭窄症との鑑別に有用。
◯緊急手術は必要?
腰椎ヘルニアの治療の基本は鎮痛薬による保存的治療。奏効しない場合に手術療法が考慮される。が、急激な運動麻痺や膀胱直腸障害が出現している場合は神経が不可逆的に傷害される可能性があるので緊急手術の適応となる。(→ヘルニア摘除術)
◯筋力低下の評価
L3/4間ヘルニア(L4神経根)では足背屈力低下
L4/L5間ヘルニア(L5神経根)では足趾背屈力低下(→つま先上げ歩行不可)
L5/S1間ヘルニア(S1神経根)では足底屈力低下、足外がえし力低下(→つま先立ち歩行不可)
◯腱反射の評価
L4では膝蓋腱反射、S1ではアキレス腱反射で評価する
◯感覚の評価
L4は下腿内側、L5は足背(母指と第二指の間)、S1は下腿外側・足底で評価
【神経根の高位診断】
画像参照元:http://chousei58.com/?p=70076
◯SLR試験(straight-leg-raising-test)について
仰臥位の患者の片方の足を伸ばしたまま持ち上げて股関節を60度まで屈曲させた時に臀部や大腿後面の痛みがあれば陽性。SLRが陰性なら腰椎椎間板ヘルニアはやや否定気味。逆に反対側の足でもSLR陽性になれば椎間板ヘルニアがより疑わしい。
また追記、更新します。