髄液中のIgGが上昇する病態として次の3つがある。
1,血液中IgGの増加
2,血液脳関門の破綻
3,中枢神経内でのIgG産生の増加(←IgG index高値)
髄液IgG indexを計算することで、IgGが高くなる理由を鑑別することが出来る。
IgG index=
(髄液igG濃度/ 血清igG濃度)÷(髄液アルブミン濃度/血清アルブミン濃度)
によって算出され、髄液中でのIgG産生の指標として用いられる。基準値は0.34-0.85であり、これ以上は異常である。
正常の髄液の主成分はアルブミンであり、γグロブリン(ほとんどがIgG)の占める割合は6-8%程度である。髄液中のIgGの増加は神経疾患の病態鑑別に重要である。例えば、IgG indexは多発性硬化症の90%で高値を示すと言われているが、一方で視神経脊髄炎では上昇しないことが多い。よって多発性硬化症と視神経脊髄炎での鑑別の際に重要。なぜ多発性硬化症で上昇するのかは脱随巣における局所的なIgG産生が存在するからと言われている。また、その他の中枢神経性感染症でもIgG indexは上昇するとの報告があるが、疾患特異性に乏しい。
*また余談では有るが、髄液の電気泳動でγグロブリン領域に出現するオリゴクローナルバンドは多発性硬化症の70%程度が陽性と考えられる一方、視神経脊髄炎での陽性率は約10%と低い。
参考:神経内科ハンドブック、神経救急・集中治療ハンドブック