針筋電図のmemo
◯針筋電図検査とは
運動単位の機能を評価するための検査。運動単位とは単一の運動ニューロンとそれに支配される筋繊維郡。つまり…
運動単位=脊髄前角細胞+軸索+神経筋接合部+筋繊維
◯運動単位電位(MUP)とは
運動単位電位(MUP)とは1つの運動単位から得られる電位のこと(そのまま)。
弱く筋肉を収縮してもらうときは1つ1つのMUPが判別可能である(下図のように)。が、強く収縮してもらうと複数のMUPが融合して干渉しあって基線が見えなくなる。(心電図の心室細動のようになる)
◯針筋電図の3つの条件(刺入時、安静時、随意収縮時)
1,刺入時
・正常であれば刺入刺激による一過性の鋭い波形が出現する。(振幅1-3mV,持続時間100-300msec程度)
・異常:筋強直性ジストロフィーでは刺入時に漸増・漸減を繰り返す波形で数十秒持続する(刺入電位の延長)。またスピーカーからは急降下爆撃音のような特徴的な音が聞こえる。
2,安静時
・正常であれば活動電位は発生しないためフラットな波形。
・異常:ALS、脊髄前角細胞障害、末梢神経障害などでは繊維自発電位、繊維束電位など不規則な波形が認められる。
3,随意収縮時
(弱収縮時)
・正常であれば2,3相性の波形が見られる。(振幅0.5-2.5mV,持続時間5-10msec、頻度10-20Hz)
・神経原性変化があると高振幅、長持続、多相性の波形に。
高振幅MUPは振幅4mV以上のものをいう。高振幅になる理由は慢性の神経原性疾患であれば脱神経のあとに健常運動ニューロンから再支配により一つの運動単位に属する筋繊維の数が増えるためである。
*筋肉によって高振幅の基準は異なる。上腕二頭筋、下腿三頭筋などは比較的振幅の低いMUPが多く2.5mVを超えるものが多ければ高振幅と判定。また、顔面筋、舌筋、胸鎖乳突筋では2mVを超えていたら高振幅と判定。
・筋原性変化があると低振幅、短持続、多相性の波形になる。
低振幅の定義は0.2-0.3mV以下の振幅。
筋原性の病変があると1つの運動単位に属する筋繊維の数が減少するため振幅も小さくなる。
(最大収縮時)
・正常であれば完全な干渉波形(=MUPが干渉しあって基線が見えない状態)
・神経原性変化があると不完全な干渉波形(=基線はまだ見えるレベル)
・筋原性変化があると完全な干渉波形(=MUPが干渉しあって基線が見えない状態)
◯筋原性変化と神経原性変化の違い
また追記します。