咳嗽患者への問診と鑑別
主訴:咳に対する鑑別
【問診による絞り込み】
Q、いつから咳が出てるか
・最近→上気道炎(風邪)、気管支炎、肺炎
・慢性の咳(3週間以上)→感冒後咳嗽、後鼻漏、咳喘息、結核、COPD、肺がん、胃食道逆流症、心不全、気管支拡張症、間質性肺炎など
Q、咳の時間帯は?
・夜間〜朝多い→咳喘息
・食後(特に脂肪食)に多い→胃食道逆流症
・寝てる時→胃食道逆流症、後鼻漏
Q、先行感染はないか?
・風邪症状→感冒後咳
・風邪の後いつも咳が増悪→咳喘息
Q、タバコは吸ってるか?
・長年の喫煙歴→COPD、肺がん、間質性肺炎
Q、体重の変化は?
・体重増加→心不全
・体重減少→肺がん、結核
Q、痰はでるか?
・膿性痰出る→肺炎
・膿性痰慢性に大量に出る→気管支拡張症
・血痰が出る→肺がん
それぞれの疾患キーワード
<慢性の咳の場合>
■感冒後咳嗽
問診:先行する風邪症状(鼻症状、咽頭痛、発熱)、症状の軽快傾向
→咽頭発赤や咽頭後壁のリンパ濾胞の確認
■後鼻漏(鼻水が前ではなく喉に垂れる状態)
問診:喉に貯まる痰、夜間の咳はないか
→咽頭後壁の鼻汁を確認
■咳喘息
問診:咳の時間帯(夜間から朝にかけて多くないか?)、風邪を引いたあとにいつも咳の症状が出てなかったか、喘息治療薬(気管支拡張剤)で改善したことあるか
→呼吸音(wheeze)の聴取
→呼吸機能検査(ピークフローの低下)、β刺激薬吸入で症状の改善を調べる
■結核
問診:発熱、寝汗、体重減少
→リンパ節など肺外結核所見の有無
→胸部レントゲン、抗酸菌塗抹培養三連単
■COPD
問診:長年の喫煙歴(今は吸ってなくても昔は吸ってないかも確認)、呼吸困難
→喘鳴、呼気の延長、胸鎖乳突筋の発達、気管短縮
→呼吸機能検査(一秒率の低下)、胸部レントゲンで横隔膜の平坦化
■肺がん
問診:喫煙歴、体重減少、血痰
→ばち指、やせ
→胸部レントゲン、胸腹部CT、喀痰細胞診
■胃食道逆流症
問診:食後の胸焼け、脂肪食での増悪、咳の時間帯(夜間に多くないか)
→肥満、口臭
→上部消化管内視鏡、PPIの検査治療的投与
■心不全
問診:心疾患の既往、起座呼吸、体重増加
→Ⅲ音、下腿浮腫、頸静脈怒張
■気管支拡張症
問診:大量の痰が出ないか、肺炎の既往(かかりやすくないか)
→胸部レントゲン、CT
■間質性肺炎
問診:乾性咳嗽、労作時呼吸困難、既往歴(膠原病)、胸部放射線療法の有無
→ばち指、fine crackle聴取
→胸部CT、呼吸機能検査(閉塞性障害)