CKDに対してのレニン・アンジオテンシン系阻害薬の適応
ACE阻害薬であれARBであれ、レニン・アンジオテンシン系を抑制する薬剤は血管拡張を含む様々な臓器保護作用があり、糖尿病やCKDのステージに関わらず、末期腎不全への進展や全死亡率を改善する効果が報告されている。
ただし、ARB,ACE阻害薬の問題点としては腎機能低下や高カリウム血症がある。
腎臓保護を期待して使用するのに腎機能低下の副作用とは矛盾しているように見えるが、RA系阻害薬の作用機序は輸出細動脈拡張によって糸球体内圧を低下させることにより糸球体濾過量(GFR)を低下させて腎臓の長期予後を改善させるというものである。
画像参照:http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/phys1/profiles/takeya.htm
よって、ステージ4や5などの進行したCKDにおいてRA阻害薬の使用は更にGFRが急激に悪くなったり高カリウム血症を引き起こして血液透析に直結させてしまうリスクが有る。進行したCKD患者の場合はRA阻害薬を少量から慎重に開始して腎機能悪化(Creが使用前に比べて10%以上上がる場合)があれば速やかに減量もしくは中止を検討する必要がある。高血圧治療として代わりにカルシウム拮抗薬など考慮。
◯CKD患者への処方の実際
CKDステージ1−3の場合は蛋白尿(0.15g/gCre)以上のときはRA阻害薬が第一選択
蛋白尿がなければRA阻害薬もしくはカルシウム拮抗薬から選択
CKDステージ4,5の場合で蛋白尿があるときはRA阻害薬を慎重に開始、75歳以上と高齢である場合はカルシウム拮抗薬。
参考:
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン