頸部捻挫(むちうち)へのアプローチ
頸部捻挫(むちうち)へのアプローチ
【受傷機転】
典型的には自動車の後部から衝突された時、頸が急激に伸展、屈曲することにより頸部痛が出現する。障害部位としては椎間関節、椎間板、椎間靭帯、頸筋、神経根などが傷害されうる。
https://jico-pro.com/columns/64/
【ROS】
意識消失(ー)、健忘(ー)、頭痛(ー)、吐き気・嘔吐(ー)
→これらがあれば頭部損傷を示唆
【身体所見】
頸部筋肉の圧痛(ー)、頚椎棘突起に限局した圧痛(ー)、腕の筋力障害(ー)、腕の感覚障害(ー)、深部腱反射(ー)
→感覚障害や運動障害など神経症状の有無を確認
●レントゲンを取るか否か(むやみにとってはならない)
鈍的外傷患者において次の5つが揃えば頚椎レントゲンは必要ない
(NEJM343:94-99,2000)
・意識障害なし
・神経学的局在所見なし
・正中後頸部の圧痛なし
・中毒なし
・頸部以外での大きな傷みを伴う外傷なし
【検査】
頚椎損傷が示唆されればレントゲン。特に受傷時、受傷直後に手や足のしびれ、電気が走った感じ、麻痺の場合は来院時に治まっていても頸髄損傷を考える。逆に、頚部捻挫だけであれば、靭帯や関節包などの障害だけであるので頸部レントゲンで異常は認められない。
【患者説明】
・骨折や脱臼なければむちうちの痛みは受傷の翌日に最も強くなり、その後3−5日で回復する。
・不定愁訴(耳鳴り・頭痛・めまい・吐き気・食欲不振)など出現することも多い。
・疼痛緩和として、効果があるなら冷やすか温める事をしても良い。
・アセトアミノフェンの使用もOK
・早い段階から可動域訓練をしたほうが良い。
・小さな可動域、振幅での頸の回旋運動、まず一方向からはじめ、次に逆方向で行い、それぞれ一時間ごとに10回ずつ行う。
不快を感じない範囲内で。
・スポーツ選手の場合は全可動域が完全に動いて筋力も戻るまで復帰はできない。