killer sore throat5つを簡単にご紹介
怖い咽頭痛5つを簡単にご紹介
ERで咽頭痛を主訴に来る患者の大半はただの風邪であるが、中には致死的な疾患も混ざっているから要注意。海外では死にうる咽頭痛疾患5つをまとめてkiller sore throatなどと呼ばれている。
【killer sore throat】
1,急性喉頭蓋炎
2,扁桃周囲膿瘍
3,咽後膿瘍
4,Ludwig's angina(顎下膿瘍)
5,レミエール症候群
killer sore throat には注意!とは言うものの、それぞれどういう特徴があるのか知っておかないと気をつけ様もないので簡単にまとめ
◯急性喉頭蓋炎
急性喉頭蓋炎とは:喉頭蓋の細菌感染で喉頭蓋が腫脹し上気道閉塞、窒息
いつ疑うか:咽頭痛や嚥下時痛が非常に高度にも関わらず咽頭所見に異常が見られない場合(もっと奥で炎症が起きている)
検査:頸部レントゲンでthumb signを認めれば診断可能。頸部CTの方がよりわかりやすいが呼吸苦を訴えている場合はCT中に死にうるので注意
ポイント:いつ窒息してもおかしくないので気道確保の準備は必須。尚、呼吸困難を訴えている場合は気管挿管の難易度が非常に高いため輪状甲状間膜切開の準備をした上で気管挿管を行う。必ず人を集める。
◯扁桃周囲膿瘍
画像参照:扁桃周囲膿瘍(扁桃周囲炎)とはどんな病気か|症状や原因・治療 - gooヘルスケア
扁桃周囲炎とは:扁桃周囲炎に続発し、炎症が扁桃被膜外側に波及して膿瘍を形成するもの。深頸部膿瘍や降下性壊死性縦隔炎への移行リスクがあるので要注意。
いつ疑うか:咽頭痛患者に、舌圧子で咽頭を観察し、口蓋垂の偏奇を認めれば疑う。扁桃周囲膿瘍なのか、それとも酷い扁桃炎(扁桃周囲炎)なのかは造影CTで鑑別。
治療:切開、穿刺。膿瘍が小さければ抗菌薬のみで保存的治療となることもある。
◯咽後膿瘍
咽後膿瘍とは咽頭後壁の膿瘍のこと。食道の椎体の間の軟部組織に感染が起こり、隔てるものがないと炎症は脳底部から縦隔まで波及していき危険。
前方に行けば気道閉塞、側方に行けば血栓性静脈炎(レミエール症候群)、全身に移行すれば敗血症になる。
リスク:免疫力低下や異物(魚骨)などによる損傷など、小児(リンパ節発達)
症状:咽頭痛、発熱、斜頸、嚥下障害、こもった声など
ポイント:唾液を飲み込めないほどの痛みを訴えることもあり、急性喉頭蓋炎と似た臨床像を取ることもある。
診断:頸部CT。確定診断には造影CTで膿瘍壁がリング状に認められる。
鑑別としては急性石灰沈着性頸長筋腱炎(crown dense syndrom)も挙がる
◯ルードヴィッヒアンジーナ(=Ludwig's angina、顎下膿瘍)
ludwig’s anginaとは顎下軟部組織の蜂窩織炎。
歯槽骨炎、外傷による感染、顎下腺唾石、下顎歯のう歯からの炎症の波及が多い。
症状:口底部が著しく腫脹、疼痛、発熱、開口障害。
注意点:他のkiller sore throatと同様に炎症がひどくなると口底部の腫脹により開口障害、気道狭窄を引き起こす。
対応:含み声や頸部において喘鳴があれば気道確保必要
【顎下膿瘍の一例】
Ludwig’s Angina - Pictures, Treatment, Diagnosis, Causes, Symptoms
◯レミエール症候群
レミエール症候群とは扁桃炎や咽頭炎などの口腔咽頭感染が一度軽快してから、2−3週間後に細菌がリンパ管を介して広がって頸動脈、経静脈に侵入して血栓性静脈炎、肺塞栓、感染性心内膜炎、敗血症を引き起こす。嫌気性菌が多い
好発:若年者に多い(20代)
症状:咽頭痛、開口障害などあるが、最も特異的な所見は内頸静脈に沿った腫脹や圧痛!
検査:造影CTで診断。
レミエール症候群の解説イラスト:17 best ideas about Lemierre's Syndrome on Pinterest | Twin sister tattoos, Twin sister quotes and Tattoos for friends