伝染性単核球症へのアプローチ
伝染性単核球症へのアプローチ
・発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹が3徴
咽頭所見では分厚い白苔、扁桃の腫脹が強く重篤に見える。
リンパ節腫脹は全身性。鼠径部や腋窩にも見られると伝染性単核球症の確率は上がる。
・身体所見では肝脾腫に注目
多くの場合肝臓、脾臓の腫大を認めることが少なくない。またAST、ALTも上昇するため肝炎と間違われることもある。
・15〜24歳に好発
幼少期にEBVのに初感染しても発症しないことが多いが、青年期に初感染すると70%の患者が伝染性単核球症を発症する。EBウィルスは唾液に生息し、キスによって感染するのでkissing diseaseとも呼ばれる。逆に唾液を介さない場合は感染しない。
・白血球数とリンパ球数が鑑別のポイント
白血球が11000〜18000と上昇。ウィルス感染なのでリンパ球が顕著に増大(50%以上)。逆にリンパ球4000/μL未満の場合にはかなり否定的。
・治療は対症療法。抗菌薬は禁忌
ウィルス性上気道炎と同様にカロナールなど解熱剤処方で良い。
アンピシリン、アモキシリン投与で95%、βラクタム系抗菌薬で50%で皮疹が出現する。伝染性単核球症自体の症状として皮疹が出現することもあるが3%以下であり稀。
・患者説明:激しいスポーツは禁止
稀であるが合併症として脾臓破裂が知られている。肝脾腫が強い場合は体をぶつけ合うような激しいスポーツは1ヶ月程度しないように指示する。また伝染性単核球症の症状や倦怠感は1ヶ月程度持続しうるのでその旨を説明し、必ず外来でフォローをする。