つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

脳炎メモ(記載中)

脳炎鑑別:

感染性脳炎(急性ウィルス性脊髄炎、日本脳炎、マイコプラズマ脳炎、ライム病)、髄膜炎(小児のコクサッキー、エコー、アデノ、HHV6などウィルスによるもの、結核性)、脳膿瘍、硬膜下・硬膜外膿瘍、静脈洞血栓症、同心円硬化症、REYE症候群、SLE、抗リン脂質抗体症候群、神経ベーチェット病、神経サルコイドーシス、代謝性脳症、悪性リンパ腫、CLIPPERS症候群など

 

急性散在性脳脊髄炎(ADEM)

【ADEMとは】

急性に脳・脊髄・視神経を含む中枢神経系に散在性に脱髄と炎症が出現する。原因としてはワクチン接種後、ウィルス感染後、特発性に分けられる。ワクチン接種後の場合1ヶ月以内に急性に頭痛・発熱・嘔吐で発症する(発症頻度は1000万回のワクチン摂取に対して1-3.5人)。ウィルス感染として多いものは麻しん、風疹、水痘、インフルエンザ、単純ヘルペス、帯状疱疹、流行性耳下腺炎など。成人では原因不明の特発性のことも少なくない。意識障害と脊髄障害が出現し、MRIで中枢神経系の炎症・脱髄病変を生じている場合に考える。

【症状】脊髄症状(麻痺、病的反射、レベルの有る分節性感覚障害、膀胱直腸障害など)や脳幹・小脳症状が生じうる。

【検査】採血で白血球・CRP上昇があるのは1/3程度の症例と多くない。髄液検査ではリンパ球優位の細胞数増多(当初は100-250/μLに達して、その後は20-100/μL以下)、蛋白増加、IgGの増加を認める。

【画像検査】MRIではT2強調とFLAIRで高信号を認め、T1では低信号となるが、造影効果が認められる。好発部位は即脳室周囲、脳幹、小脳、視神経、脊髄であり、小さい脱髄病変が一気に散在性に広がる。ただし、MRIで異常所見が出現しない例もあるのでMRIで異常信号が無いからと言ってADEMの除外はできない。

【経過】症状はピークに達すると徐々に改善。単相性の経過でありMSなどと異なる。治療はステロイドパルスが基本。免疫グロブリン大量療法が走行する例もある。

【鑑別】

明らかなワクチン接種歴があれば診断は困難ではないが、特発性の場合は難しい。

ADMは経過中に9.5%〜27%がMSの診断となる。またNMOでADEM様の画像で初発することも有り鑑別が困難なことも多い。MSと比較すると、ADEMは発熱、髄膜刺激症状などの炎症症状が全面に出て、痙攣、意識障害の頻度も高い。

 

NMO(視神経脊髄炎)

【NMOとは】

30−40代と若年に多い。女性が90%。

(血液検査)抗アクアポリン4抗体陽性が特徴。白血球上昇を認めることも有るが、その他は主に正常。

(髄液)増悪期に軽度の細胞数増多(単核球で50/μL以下)、蛋白増加(100mg/dL以下)を認めることがある。髄液圧や糖は正常であることが多い。なお、IgGインデックスはMSでは上昇がみられる事が多いが、NMOでは見られない場合が多い。

オリゴクローナルバンドはMSで70%程度が陽性、NMOでは10%程度が陽性。

(画像)MRIで脱随巣がT1強調で低信号、T2強調で高信号になる。なお、脳室周囲病巣と脳室の区別にはFLAIR画像が有用。急性増悪期にはガドリニウム造影効果を認めることが有るため新規病変なのか、陳旧性のものなのか鑑別に役に立つ。また、NMO診断基準の1つに「3椎体以上に連続する脊髄MRI病変を認める」がある。

 

自己免疫性脳炎

【SLE脳症】

SLEは全身の臓器・組織障害が起こる自己免疫性疾患であるが、神経系も主要な標的臓器の一つ。SLEの55%で中枢神経症状が生じる(精神神経ループス)。

中枢神経症状は他の器官が活動期にある時に出現しやすい。偏頭痛様の頭痛、うつ状態、失見当識、妄想などの精神症状やけいれん発作、脳血管障害も見られる。

(血液検査)抗核抗体の陽性率は98%、抗ds-DNA抗体は陽性率70%で比較的疾患特異性が高い。抗SS-DNA抗体の場合は薬剤性ループスの可能性も。また他には、抗Sm抗体、抗SS-A抗体、抗U1-RNP抗体、リウマトイド因子、抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント、ACL-β2ーGPIも陽性に検出されることもある。

(MRI)頭部MRIでは微小血管障害により脳室周囲の白質病変を認めることがある。また、脳梗塞、脳室内出血、脱髄、脳萎縮を認めることも有る。

 

【神経ベーチェット】

ベーチェット病は口腔内アフタ性潰瘍、皮膚症状(結節性紅斑様皮疹)、外陰部潰瘍、眼症状(ぶどう膜炎)の4つの主症状とする慢性再発性の全身性炎症性疾患。20−40代男性に好発。

・4症状すべて揃う完全型

・4症状揃わない不全型

・特殊型(腸管、血管、神経ベーチェット病)に分類される。

神経ベーチェット病はベーチェット病発症から平均6.5年で出現すると言われる。脳幹や間脳などは障害されやすいが、末梢神経障害は稀。大きく髄膜炎、脳幹脳炎として急性に発症するタイプと片麻痺、小脳症状、錐体路症状など神経症状に認知症などの精神症状をきたし慢性的に進行するタイプに大別される。

(検査)髄液検査では細胞増多、蛋白増多、IL6,8の著名な増加を認める。

MRIでは脳幹部(特に橋腹側〜中脳)、視床が好発部位であり、T2強調画像で高信号となり、T1強調画像で我どり有無造影される。

 

【神経サルコイドーシス】

サルコイドーシスは多臓器に非乾酪性肉芽腫が形成される原因不明の全身性疾患であるが、2つ以上の臓器が障害されていることが診断のポイント。頻度としては両側肺門リンパ節、肺、眼、皮膚の罹患頻度が高い。その他神経、筋、心臓、腎臓、骨、消化器などの臓器も罹患する。神経症状は5%程度に生じて症状としては頭痛、片麻痺、全身けいれん、意識障害、不随意運動など。

中枢神経障害は髄膜病変が多く、髄膜炎や髄膜脳炎を起こす。脳実質内病変は少ない。髄膜、視床下部、下垂体、脳室壁に肉芽腫が形成されると、髄膜炎の他、尿崩症や脳室閉塞による水頭症を起こす。

(検査)CTやXPで肺門部リンパ節の腫脹。血液検査でACE、リゾチームの上昇。中枢神経サルコイドーシスでは髄液でリンパ球増多、蛋白増多、IgG上昇が見られ、糖は正常〜減少。MRIでは脳実質内の腫瘤や髄膜がGd造影される。

 

 

急性中枢神経系の感染症

 (ウィルス性脳炎)

【単純ヘルペス脳炎】

口唇ヘルペスの随伴は10%以下、発熱、せん妄などで発症

検査は髄液HSV PCR、CF、EIA IgM、IgGなど

 

【日本脳炎】

日本脳炎はコガタアカイエカによって媒介される。ワクチン接種してないと発症リスク。日本では年間1人ほど。

発熱や意識障害といった脳脊髄炎の型が多い。

MRIで視床や基底核、中脳にT2高信号を呈することも。

検査はCF法、ELISA法、HI法、中和試験などがある。急性期と回復期のペア血清で抗体価が4倍以上上昇していれば診断して良いとされている。

 

【水痘・帯状ヘルペスウィルス(VZV)】

水痘に伴う、帯状疱疹に随伴。一側神経髄節に沿った水疱形成。

検査としては髄液のVZV PCR,CF,EIA,IgM,IgGなど

【ヒトヘルペスウィルス6(HHV-6)】

小児に好発。突発性発疹、臍帯血移植後に辺縁系脳炎として発症。

検査としては髄液HHV-6PCR、IgM/IgG(IFA)

【Epstein-Barr Virus(EBV)】

必ずしも伝染性単核球症が先行するわけではない。初感染、再活性化、慢性活動性に起こる。EBVは無菌性髄膜炎、脳炎、小脳炎、脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、末梢神経炎などを生じさせるが、直接浸潤と免疫学的機序両方が考えられる。

初感染の時は血清EBNAが陰性であり、慢性活動性感染状態であればVCAIgG高値である。髄液EBV PCRが診断に有用であるが陰性例もあるので抗体価も要参考。EBVであれば単純ヘルペス脳炎同様にアシクロビル投与となるがエビデンスはない。

【マイコプラズマ】

【インフルエンザウィルス】

インフルエンザ感染を契機に発症。1歳など幼少期に多いが大人でも起こりうる。症状としては発熱、痙攣、行動異常、精神症状など。精神症状はインフルエンザによる発熱の数時間後から起こりうる。画像上はCTでびまん性低吸収域や両側視床、大脳半球の低吸収域、浮腫、脳幹周囲の脳槽の消失、皮髄境界の不鮮明化などが認められる。MRIのDWIやFLAIRでは高信号。

 

【ジカウィルス】

ヤブ蚊による咬傷、流行地への渡航。

【狂犬病ウィルス】

何よりも海外での動物咬傷歴。(犬、猫、狐、スカンク、コウモリ、ネズミなど)

潜伏期間は1−3ヶ月。発症すると、発熱、頭痛に始まり恐水症状など脳幹症状が見られ、広汎から意識障害、昏睡と進み呼吸不全で死亡する。

【HIV脳症】

【HTLV-1関連脊髄症】

 

 

・細菌性脳炎

【結核性髄膜炎】

【真菌性髄膜炎】

 

・寄生虫性脳炎

【トキソプラズマ】

【自由生活アメーバ】

【広東住血線虫症】

 

参考)

神経内科ハンドブック

神経救急・集中治療ハンドブック