鼻骨骨折への対応
鼻骨骨折への対応
●受傷機転
スポーツ外傷、転落、自動車事故が多い。
●身体所見
鼻骨骨折があれば通常明らかな鼻の変形を認め、鼻と眼窩周囲組織の浮腫と斑状出血を認める。また触診で鼻骨の軋音、陥凹、不整を認めれば鼻骨骨折の可能性が高い。
●単純レントゲン
合併症のない鼻骨骨折では通常レントゲンは必要ない。感度、特異度ともに低く、鼻骨骨折の有無を不正確にしか見極められないことが多い。治療は身体所見に基づいて行われる。もし軟骨が折れて偏位して呼吸を妨げていたら手術が必要になるがレントゲンではうつらない。
●頭部CT
鼻骨骨折ではレントゲンは不要であるが、その他の症状、例えば咬合不全、眼球運動障害、脳脊髄液の鼻漏などその他の骨折が示唆されれば頭部CTで評価必要。
●治療・フォロー
鼻中隔血腫がある場合
患者の鼻気道が完全に閉塞している場合は鼻中隔血腫を疑う。血腫は鼻軟骨への血流を途絶させるために不可逆的な軟骨壊死を引き起こす。ただちに排液し、耳鼻咽喉科にコンサルが必要。鼻中隔の診察は明るい光のもと、局所麻酔により血管を収縮させて行う。鼻鏡と額帯鏡があるとよりベター。鼻中隔血腫は鼻中隔の片側、両側に白っぽい波動を伴う部分として観察される。血腫は綿棒での触診で他の浮腫組織よりも凹みやすいので区別可能。
骨折の可能性はあるが偏位を伴わない場合
→アセトアミノフェンなど鎮痛薬処方し、氷などで冷やすよう指示。1−2ヶ月は激しいスポーツはしないよう説明して帰宅させる。後日近医紹介。
変形を伴う骨折が疑われる場合
→耳鼻咽喉科、形成外科への紹介は必須。が、整復は腫脹が治まってからのほうが正確で受傷後1、2週間以内であれば整復可能であることを患者に説明する。
小児の場合
小児での重たい外傷は顔と鼻で発育不全に繋がる可能性があるので注意。変形、骨性軋音、鼻出血、眼窩周囲の斑状出血が見られたら翌日耳鼻咽喉科に紹介する。小児は大人よりも骨の治癒スピードが早いので整復は2,3日以内に行う。
(鼻骨骨折の一例:左写真)
画像引用:LeBron James’ Mask: Nasal Fractures
また追記更新します。