捻挫・骨折疑い患者への対応
捻挫・骨折疑い患者への対応
【捻挫とは】
捻挫とは転倒やスポーツなどにより関節に強い外力が加わった外傷のうち骨折と脱臼を除いたものであり、軟骨や関節周囲の軟部組織の損傷である。なお、骨には異常がないのでレントゲン検査で異常を認めない。受傷時には強い疼痛を認めるため医療機関を受診するが、診察時には軽快していることも多い。
●問診
受傷機転について十分に問診する。斑状出血や腫脹の程度が受傷機転に比べて明らかに大きな場合は出血障害(白血病、ITPなど)の検査を考慮する。
●身体診察
疼痛の部位:
圧痛の部位:←どこに圧痛があるのか把握してないと指導医に間違いなく叱られる
関節の運動時痛の有無:
関節の可動域制限:
関節の不安定性(内外反のストレステスト):
◯単純レントゲン
異物混入か骨傷が疑われる場合のみレントゲンを取る。損傷部位から離れた場所への叩打によって痛みが誘発される場合は骨折が疑われる。骨折の疑われる関節の単純レントゲン2方向撮り骨傷の有無を確かめる。
注)小児の場合は軟骨成分が多くわかりにくいために健側も撮影して比較する。
◯骨折は本当にないのか?
単純レントゲンだけで骨折が絶対ないといい切ることは出来ない。骨折は画像検査と臨床症状を総合的に併せて診断される。画像的に明らかな骨折がなくても患者が強く痛がっていれば骨折の可能性は十分にあるのである。
骨折がなければ…
◯処置:RICE
R:rest(固定)
I:Ice(冷却)→タオルで巻いた氷を2,3時間ごとに10~20分ほどあてる。受傷当日、翌日。
C:Compression(圧迫)
E:Elevation(挙上)→理想的には心臓より高く。
この4つで炎症を抑えて腫脹・疼痛を軽減するとが出来る。
注)冷却は有効であるが長時間氷を当て続けるとむしろ凍傷になる。
注)逆に温めることは意味がない。むしろ受傷後1,2日以内に患部を温めると出血と浮腫を増強させてしまうおそれがある。
◯処方
カロナールなど消炎鎮痛薬。疼痛強いときは内服薬、弱ければ外用薬。
内服薬の場合は2−3日に抑える。
◯患者説明
・X線では明らかな骨折はないが小さなひびなどはレントゲンではわからない。CTやMRIなど他の検査をしなければならない骨折もあるので、明日以降出来るだけ早急に整形外科を受診するようにしてもらう。
・帰宅後はカロナールなど鎮痛薬を飲んで安静にしてもらう。安静にしていても痛みが続くようであれば脱臼や骨折による神経障害、血流障害の可能性が考えられる。→再度受診するように指示。
・しびれ感や、指先の感覚がなくなるような事があっても神経障害の可能性があるので再度受診するように指示。
【もし捻挫であれば…】
・捻挫であれば腫脹は受傷の翌日に最も強くなり、その後は少しずつ軽快していく。
・障害部位を2−3日間はビニールに入れた氷で冷やすことで炎症を抑えられる。
・長時間のお風呂やアルコールは血流が強くなるため痛み強くなる。
・患部を下げても血流が多く流れてしまうのでできるだけ挙上する。下肢の場合であれば足の下に枕挟む。
◯帰していいのか?要確認
・痛い+動かせない
・脱臼や神経障害、血管障害がないか
→神経障害や血管障害があるのに帰すと神経麻痺が完成してしまい後遺症が残るケースも。
また追記、更新します。