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肘内障(橈骨頭の亜脱臼)への対応@救急外来

肘内障(橈骨頭の亜脱臼)への対応@救急外来

 

【肘内障とは】

典型的な肘内障では幼児が突然親に手を引っ張られるなどして痛みのために突然手を動かさなくなってしまう。機序としては前腕を回内し、肘を進展した状態で長軸方向に急激に引っ張る結果生じる。遠位上腕骨小頭と橈骨頭の間の輪状靭帯がずれた状態であり、正常であれば輪状靭帯は橈骨頭を覆っているが、橈骨上腕関節側へとずれ込んでしまう。

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画像引用:小児の肘内障・肘の脱臼 | 津島市・あま市|黒氏接骨院

 

【問診】

受傷機転:高所からの転落など骨折の可能性がないか除外する。

典型的には親に突然腕を引っ張られて発生することが多いが、原因不明の肘内障も50%近くあるという報告もある。寝ているだけで突然なることもある。

既往歴:7歳頃までは再発を繰り返すので肘内障の既往があれば診断のヒントになる。

 

【身体所見】

患側上肢は下垂位で前腕、手を回内位に保持している。

上肢全体をくまなく診察する。肘内障では腕に変形、腫脹、発赤などみられることは通常ない。橈骨上腕関節に圧痛点を認めることはある。

 

【検査】

受傷機転、身体所見から肘内障を強く疑えばレントゲンは必要ない。

肘内障ではX線でうつらない輪状靭帯がずれているだけであり橈骨頭動いていないのでレントゲンでも正常に見えてしまう。もし大きな外傷歴、腫脹、発赤、圧痛など認めれば骨折の可能性があるのでレントゲン撮影を行う。

 

【治療】

・靭帯の位置がずれていることを両親に説明

・幼児を親の膝の上に座らせる

手で患児の肘を支えながら親指を橈骨頭上に起き、前腕を完全に回外し、肘を進展させた状態で親指を押し込む。親指は橈骨頭を抑え続け、前腕を回外したまま肘を完全に屈曲させる。

・以上の手技でコキッと音がして、指先にクリックを橈骨頭部に感じられれば整復完了。

・10分ほど時間をおいてから再度診察して回復しているかどうか見る。特に前腕の回内回外動作(バイバイやきらきら星)を痛みなく出来るか確認する

・整復後も痛みが残っている場合は骨折を合併している可能性があるのでレントゲンを取る。

・受傷後12時間以上経っていると失敗しやすい。どうしても整復できない場合は整形外科コンサル、もしくはギプスシーネで固定して翌日整形外科紹介受診。

 

【患者説明】

・肘内障は7歳ぐらいまでは繰り返す。

・肘内障は整復せずに放置すると橈骨頭の変形をきたし、運動機能の障害を引き起こす

・再発してもそのつど整復していれば後遺症が残ることはない。

・整復後も「痛みが残っており普段に比べても動きが少ない」と訴えがあっても一度でも挙上動作が確認されれば基本的に整復されているものと考える。肘内障の時間が長ければ長いほど整復後も痛みが残ることがある。

 

【整復動画の紹介@youtube】

www.youtube.com