つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

外傷後にお風呂、お酒、タバコがだめな理由

捻挫や打撲、骨折など外傷後にお風呂、お酒、タバコがだめな理由

 

入浴は体温が上昇することにより熱を放散するために末梢血管が拡張して全身の血流がよくなる。すると受傷部位での血流も増大して炎症が増強される。患者には「シャワーはOK!」「湯船に浸かるのはだめ」などと説明する。

アルコールも入浴と同じような理屈で、アルコール自体に血管拡張作用があるので全身の血行がよくなり、受傷部位での出血を助長させたり疼痛が強くなってしまう。

喫煙は慢性的には動脈硬化を引き起こすが、喫煙直後の急性期でも循環動態に影響を及ぼす。タバコには4000以上の成分が含まれており作用機序を明確にするのは難しいが、少なくともニコチンは交感神経を刺激してカテコールアミンを分泌して化学受容体を刺激する。またタバコの煙に含まれるCOはヘモグロビンに結合して赤血球の酸素運送能力を低下させる(喫煙者は非喫煙者よりも5倍の血中一酸化ヘモグロビン濃度)。生理学的な話をすれば酸素ヘモグロビン解離曲線は左方移動を起こして末梢組織における酸素供給能力が低下し、入浴やアルコールとは逆に組織が循環不全になってしまう。