つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

抗血栓薬処方における高出血リスクの判定について

2020年ガイドラインメモ書き ✅高出血リスクの患者に対して 下記のHBRをチェックして、リスクによってDPAT期間を検討する。

CABG患者における抗血栓薬について

2020ガイドラインメモ書き ✅CABGにおける抗血小板薬 ・バイアスピリン服用中でCABGを施行する場合は周術期にバイアスピリン継続する(クラス1) ・ACSに対するCABG後では可及的速やかに負荷投与を行った上で、P2Y12受容体拮抗薬を開始し、最長12ヶ月までD…

ASに対するTAVIの適応

・ASにより心不全や失神、胸痛などの自覚症状が出現すると平均余命は2−3年と言われている(狭心症出現後45ヶ月、失神後27ヶ月、心不全後11ヶ月というデータがある)。 ・無症候性の重症ASでも予後は不良であるが、突然死のリスクは年1%程度とされている(…

虚血性心疾患にPCI行わない患者での抗血栓薬について

2020年版ガイドラインメモ書き ✅PCI非施行患者(ACSと診断されても、PCI治療できない場合(超高齢者や重篤な合併症がある場合)について) ・アスピリン100mg/dayを継続的に投与(クラスⅠ) ・ACS患者に対してアスピリンとクロピドグレルのDAPTを少なくとも6…

心房細動における抗不整脈薬の選択

✅心房細動における抗不整脈薬の選択 ・抗不整脈薬には陰性変力作用やQT延長作用などがあるので基本的には器質的心疾患(肥大心、心不全、虚血心)を持たない症例に限られる。器質的心疾患がある場合には専門的な慎重な判断が必要。 ・発作性心房細動=発症か…

除細動時の抗凝固療法

✅除細動時の抗凝固療法 ・除細動による血栓塞栓リスクは1−5%程度(除細動後10日以内の発症が大半)。 ・除細動の3週間前および除細動後4週間ワルファリン療法を行うことで血栓症リスクを抑えられる。48時間以上持続する心房細動化持続期間不明の心房細…

ACSおよびNSTEMI患者のDAPTに関して

2020年度のガイドラインメモ書き 【ACSの場合】 ・バイアスピリン+エフィエント(orクロピドグレル)を3−12ヶ月間(クラスⅠ) ・DES留置後出血リスクが高い患者はDAPTは1−3ヶ月に短期化する(クラスⅠ) ・禁忌がなければ無期限にバイアスピリンを継続(クラ…

心房細動への抗凝固薬の適応

✅心房細動における抗凝固薬の適応 CHADS1点以上でDOAC推奨。 ワーファリン使う場合は機械弁患者と異なり、INRは1.6〰2.6でコントロール。 (70歳以下でCHADS2が3点以上の場合はINR2-3でのコントロールを考慮) CKDや低体重、左房径の拡大、高齢(65歳〜74歳…

最大吸気圧の設定(PEEPとPiのどちらを調節するか)

⭕人工呼吸器の最高気道内圧の設定について 最高気道内圧(PEEP+Pi)もしくは(PEEP+PS)は25cmH2O以下(最大でも30cmH2O)以下とする。最高気道内圧が30を超えると肺損傷が起こると言われている。 ・PEEPを上げることによって肺胞内に陽圧がかかるので、肺胞と…

ジャクソンリースとバッグバルブマスクの違い

バッグバルブマスクとジャクソンリースの違い ○バッグバルブマスク(=アンビューバッグ)とは バッグバルブマスクは自己膨張式換気装置であり、バッグは外部の空気を取り込んで自然に膨らむ。酸素ガス供給源がなくても換気が可能。酸素ガスに接続してマスク…

肥大型心筋症についてのメモ書き

肥大型心筋症についてのメモ書き 肥大型心筋症とは、高血圧や弁膜症など明らかな原因が無いにも関わらず左室または右室の異常肥大を呈する疾患。左室の拡張脳障害が病態の主体であり、流出路狭窄の有無や突然死のリスク評価が重要である。約半数は常染色体優…

僧帽弁閉鎖不全症の手術適応

○一次性MR(僧帽弁逸脱など) 左室容量負荷による左室機能低下は無症状のまま進行することが多く、長期化することにより不可逆的な心筋ダメージを引き起こす。左室拡大、EF低下症例では術後の予後が悪いので僧帽弁形成術は進行する前に行うべきである。 ・重…

僧帽弁閉鎖不全症の内科的治療とフォローアップ

僧帽弁閉鎖不全症の内科的治療とフォローアップ ○一次性MRの場合(僧帽弁逸脱症など) ・慢性の重症MRの場合:外科治療が困難な場合は利尿剤やACE/ARB、βブロッカーの長期投与を考慮する。 ・血行動態が不安定の場合:急性のMRの場合はコンプライアンスの低…

一次性MRと二次性MR、心房機能性MRの違い

一次性MRと二次性MRの違い(僧帽弁閉鎖不全症) ○一次性僧帽弁閉鎖不全症 一次性MR=器質性MRとも呼ばれ、僧帽弁自体の異常があることによりMRがある場合、一次性MRと呼ばれる。 ・僧帽弁逸脱 ・リウマチ性MR ・僧帽弁穿孔や僧帽弁輪石灰化 ・感染性心内膜炎…

肺動脈楔入圧とレントゲン所見の関係

心不全で肺静脈圧が上昇すると様々なレントゲン所見が出現する。 左心不全により左室の拍出量が低下すると左房圧力が上昇→肺静脈圧上昇→肺うっ血がおこる。肺うっ血とは肺の毛細血管圧が上昇して肺の血管外に水が漏れて肺胞と間質が水で溺れてしまう病態であ…

(文献)Afに対する電気ショックのパドルの貼る位置はどこが最適か?

(文献めも)Afに対する電気ショックのパドルの貼る位置はどこが最適か?前壁〜後壁と前壁〜側壁とどちらも変わらない。ただし左房径45mm以下や孤立性心房細動の人はAPの方が有用。Afは左房か肺静脈に基質があると考えるとそこに最もエネルギーを届けられるA…

トランスフェリン飽和度(TSAT)と鉄剤投与の目安

✅鉄は血液中ではトランスフェリン蛋白に結合し運搬されている。 トランスフェリンの量が総鉄結合能(TIBC)。 そのうち、鉄が結合していないトランスフェリンの量が不飽和鉄結合能(UIBC)。 よって、TIBC=血清鉄+UIBCとなる。 https://vitaminj.tokyo/arc…

運動負荷心電図での虚血判定

トレッドミル検査での虚血陽性判定について ・一般的に、J点(QRS波形の終末からT波までの間の変曲点)より80msecほど後ろの場所が基線よりも高くなってるか、低くなっているかでST変化を評価する ・ST上昇は0.1mVの上昇で虚血陽性(=STEMI、緊急事態)。 …

(文献)持続性心房細動に対する電気ショックの初期エネルギー量はどうするべきか

(一言で)持続性Afに対して50Jの電気ショックの成功率は3割程度。失敗しやすい人は:Afが長期持続、EF低い人、肥満、左房径大きい人、ペースメーカー入ってない人など。 pubmed.ncbi.nlm.nih.gov 古い文献ですが ・持続性Afに対して電気ショック(2相性…

AG上昇性代謝性アシドーシスの原因が乳酸だけかそれ以外にもあるのか調べる方法

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AG上昇性代謝性アシドーシスの原因が乳酸だけかそれ以外にもあるのか調べる方法 施設によって乳酸の単位は異なるがmg/dlかmmol/lが多い。 1mmol/L=9.01mg/dlと換算できる。 また乳酸は1価の酸なので1mmol/L=1mEq/Lである。 (例題) アニオンギャップが20…

低Na血症でサムスカ(トルバプタン)投与をいつ考えるか

低Na血症でサムスカ(トルバプタン)投与をいつ考えるか SIADHによる低ナトリウム血症においては、ADHが亢進して水の再吸収が亢進してしまうことにより低ナトリウム血症になっている状態であるので、ADHを抑制するサムスカは良い適応であると思われる。SIADH…

腸管出血性大腸菌感染症(EHEC)とHUSについてメモ

・軽症では問診と診察で臨床診断される。 ・軽症例では通常行われないが、確定診断には便検査(便培養、抗原検査)が必要。 ・感染性腸炎の中でも腸管出血性大腸菌感染症(EHEC)と溶血性尿毒症症候群(HUS)には注意が必要。日本では最も重症化しやすいと言…

(文献)PMI患者に電気ショックをすると心室リードのみペーシング閾値が上昇する

文献メモ)ペースメーカー植え込み患者で電気ショックを行うと心室リードのみペーシング閾値が上昇し、心房リードでは変化がなかった。電気ショックの電流が心室リードの方に(おそらく解剖学的に)集中的に流れてしまいリードと接触する心内膜組織ダメージ…

モルヒネの使い方メモ

・最も使用経験のある薬のため強オピオイドの第一選択薬である。 ・中程度の痛みでも少量のモルヒネから開始する場合がある。 ◯モルヒネ速放剤として開始する場合 1,オプソ(液)1回5mg 4時間毎に内服(日中計4回)眠前は1回10mg 2、モルヒネ塩酸…

リンパ浮腫のメモ書き

リンパ浮腫と言われている患者に対して ✅リンパ浮腫の種類 一次性:原因のはっきりとしない特発性と遺伝子異常に伴う先天性(一般に小児領域の疾患) 二次性:がん治療に伴うリンパ節郭清や放射線照射が原因のもの。その他に外傷やフィラリア症など(フィラ…

二次性高血圧の鑑別・検索

二次性高血圧の鑑別・検索についてのまとめ ✅腎実質性高血圧 ①慢性糸球体腎炎などの腎臓の基礎疾患がある場合の高血圧 ②糸球体濾過量が減少した場合の高血圧(CKDステージ3以降) ✅腎血管性高血圧(RVHT) ・原因としては腎動脈狭窄(RAS)の他に、大動脈炎…

ACSのPCI治療中のACT値について

ACSのPCI治療中のACT値について 2013年のACC/AHAガイドラインでは70-100単位/kgを急速静注し、活性凝固時間(ACT)を250秒以上に保つべきとされてる。ヘパリンによる抗凝固作用には個人差が大きいためACTやAPTTをモニターすることが重要。ACTが400を超えると…

Afに対して電気的除細動の適応

Afで電気的除細動を行うことは多くない。 除細動による血栓症のリスクは1−5%程度と言われている。 ・48時間以内のものは基本的にはそのまま除細動可能 ・48時間以上持続している場合や、いつからAfなのか不明のものはそのまま除細動は禁忌。3週間抗凝固療…

カナグリフロジン(SGLT2i)で二型糖尿病による腎不全の腎機能低下抑制

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1811744 JUNE13,2019 二型糖尿病は腎不全の原因として知られているがあまり有用な治療薬はない。 これまでの研究でSGLT2阻害薬は2型糖尿病患者の腎保護作用に働く可能性が示されており、今回そのRCTを行った。…

亜鉛欠乏による貧血はなぜ起こるか

亜鉛欠乏でも貧血が起こる 赤芽球の分化、増殖にzinc finger proteinであるGATA-1が必要で、亜鉛欠乏があると赤芽球の分化や増殖が障害されて貧血が生じる。その他、造血促進ホルモンや赤血球の構成成分などにも亜鉛は必要である。 亜鉛欠乏による貧血の特徴…