PADで間欠性跛行を有する患者への対応
✅間欠性跛行を有する患者への対応
間欠性跛行を呈する患者にはABIをなど客観的な検査を行う。もし、ABIで正常値であったとしたら運動後のABIを測定する。血行再建術を考慮する症候性患者では下肢動脈超音波検査、CTA、MRA、下肢造影など行う。
血行再建術を行わない場合は画像検査は必須ではない。治療方針の決定には病変の程度よりも日常生活への影響具合を考える。
(治療方針)
○心不全の無い間欠性跛行患者にはシロスタゾール(無理な場合は他の抗血小板薬)
通常200mg/日投与が望ましいが、心拍数が増加して困る症例では100mg/日の投与を行う。抗血小板作用が弱いので他の抗血小板薬と併用しやすい。
○その他薬物療法
- エパデール:EPA製剤。抗血小板作用+脂質改善作用。間欠性跛行を改善させる効果はないが、他の心血管イベントを低下させる効果ある。抗血小板作用は弱いので他の抗血小板薬との併用しやすい。
- ベラプロスト(ドルナー®、プロサイリン®)経口投与可能な PGI2 誘導体であり既存の生理活性物質の中で最も強力な血管拡張作用を要する。細胞内 cAMP の上昇を介して血小板凝集抑制・血管 拡張作用を示すが,シロスタゾールと同様に抗動脈硬 化に関連した多彩な作用を有する。
○運動療法(跛行が生じる程度の強度で歩行して痛みが中程度になれば休むことを繰り返し、1回30〜60分間。基本的に週3回を3ヶ月間以上)
○運動療法、薬物療法で跛行の症状改善が不十分な場合は血行再建の適応
低リスクで実施できて長期開存が期待できる解剖学的形態の場合には血行再建の適応がある。以前のガイドラインでは病変が腸骨動脈領域にあれば血行再建術を第一選択に考慮するとされていたが、近年はステント治療と運動療法を比較した近年の報告では歩行距離の改善度は運動療法の方が優れており、腸骨動脈領域の間欠性跛行であっても、血行再建術の前に運動療法と薬物療法を施行する。