junctional rhythmの心電図の特徴・定義
junctional rhythmとは
洞不全症候群や房室ブロックなど何かしらの理由で房室結節以下に電気刺激が伝わる頻度が減少すると、下位中枢による補充調律が出現し、房室結節でリズムが刻まれるようになる(=房室接合部調律、junctional rhythm)
junctional rhythmではP波とQRSの関係が特殊である。↓の3パターンが起こりうる。
↑の例にあるように、junctional rhythmがどのようなP波とQRS波の関係になるのかは、逆行性の伝導率によって変わってくる。
(a)の例では逆行性のP波がQRSの先に出現している
(b)の例ではP波がQRSと同時に出現(よってQRSに隠れてしまっている)
(c)の例ではP波がQRSの後ろに出現
✅心電図の定義
①P波の異常:P波が無い。もしくは逆行性のP波がQRSの前後に出現
房室接合部から出現した電気興奮は心房には逆行性に伝播する。
P波は心房を通常とは逆方向に伝播する興奮により形成されるのでⅡ・Ⅲ・aVf誘導では陰性P波となる。
②QRSはnarrow(<0.12秒)で規則正しく出現
③心拍数は通常40〜60回/分(60〜100回/分のjunctional rhythmは促進性接合部調律と呼ばれる)
・逆行性P波がQRS波の後ろに出現する例
・逆行性P波がQRSに先行する例
・P波がQRSにに隠れる例
✅junctional rhythmの治療
電解質異常やβ遮断薬のような徐脈を引き起こすような可逆的な原因がない場合はペースメーカー植え込みが必要になることがある。特に心不全を発症している場合や失神、眼前暗黒感、めまい、息切れ、易疲労感などの症状があれば要検討。
内服薬では抗血小板薬シロスタゾールが頻脈の副作用があるためその副作用を利用して症状が改善するか経過を見る場合もときにある。