つねぴーblog@内科専攻医

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非心臓手術時の抗血栓療法について

✅非心臓手術の時の抗血栓療法について

*周術期は抗血小板薬の休薬に伴うステント血栓症のリスク上昇に加え、手術に伴う炎症による血栓形成性の亢進などが心血管イベント増加に関連している可能性がある。

PCI治療後の非心臓病手術では推奨されるDAPT期間が終了するまで可能な限り手術を延期することが望まれる

*新世代のDESは第1世代と異なり、ステント血栓症リスクが低く、最低限のDAPT継続期間も短縮されうる。DES留置後、3-6ヶ月で外科手術に伴う虚血イベント発生リスクは安定することが多くの研究で示されている(→より早期の手術が望まれるのであればDES留置後3-6ヶ月での手術も考慮される)

*しかしACSや複雑の手技のPCIが行われた患者は血栓症リスクが高いため原則としてPCI施行後6ヶ月以降への延期が妥当と考えられる。

 

 (推奨クラス)

・出血リスクが許容される場合には周術期はアスピリンを継続し,血栓リスクが高く術前にP2Y12受容体拮抗薬が休薬された場合は術後,可及的速やかに負荷投与を行P2Y12受容体拮抗薬を再開する。(クラス1)

・DES留置後P2Y12受容体拮抗薬の休薬を要する待機的非心臓病手術を行う患者に対して、可能であれば手術はDES留置後6ヶ月以降に延期する。(クラス1)

・DES留置後P2Y12受容体拮抗薬の休薬を要する待機的非心臓病手術を行う患者に対して、血栓リスクが低い場合はPCI施行後3ヶ月以降の手術を考慮する。(クラスⅡa)

・術前のP2Y12受容体の休薬はクロピドグレルは遅くても5日前、プラスグレルは遅くても7日前を考慮する。(クラスⅡa)

・ヘパリンによる抗血小板薬の代替療法は、ステント血栓症を予防する上での有効性は示されていないため推奨されない。(クラスⅢ)

・心房細動患者において、手術前のヘパリンによるワーファリンの代替療法は、心血管イベント減少に寄与せず周術期の出血性合併症を増加させる可能性があるため推奨されない(クラスⅢ)

 

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・非心臓手術の出血リスク分類

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✅出血リスクの低い手術では:

アスピリンは継続し、周術期血栓リスクが低ければP2Y12受容体拮抗薬の休薬は可能だが、周術期血栓リスクが高い場合(ACS患者や複雑な手技のPCI後でDAPT継続中の場合など)は周術期のP2Y12受容体拮抗薬の継続も考慮する。

✅出血リスクが中等度の手術では:

アスピリンは継続とするが、周術期血栓リスクに関わらず、可能な限りP2Y12受容体拮抗薬を中止する。

 

✅出血リスクが高い手術では:

周術期血栓リスクが低ければDAPTを中止するが、周術期血栓リスクが高ければP2Y12受容体拮抗薬のみ休薬し、アスピリンは継続することを考慮する。

 

⭐閉鎖された場所における手術(脊柱管、頭蓋内、後眼房など)や胸部外科領域の出血リスクの高い手技では、出血が致命傷となるため、DAPTの中止は必須である。

⭐非心臓手術でのアスピリン継続は、出血リスクを1.5倍に増やすが、重篤な事象には至らなかったという報告や、アスピリン中止により心イベントが約3倍に増加することから出血リスクが血栓リスクを上回る場合のみアスピリンを中止する。多くの非心臓手術において、アスピリンは出血リスクを上回る利益をもたらすため、周術期にも継続することが原則

 

【出血リスクと血栓リスクでの抗血小板継続の有無】

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 【抗血小板薬のやめ方・再開の時期】

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2020年JCSガイドラインフォーカスアップデート版

冠動脈疾患患者における抗血栓療法参照