【文献】ペースメーカー・ICD植え込み手術でヘパリンブリッジするべきか
ペースメーカー・ICD植え込み手術でワーファリンを中断してヘパリンブリッジするべきか?
背景:ペースメーカーやICD植え込みが必要な患者でワーファリンを内服している人は多い。
ガイドラインでは血栓症リスクの高い患者はワーファリンからヘパリンブリッジするように勧められているが、ワーファリン治療続けた状態でペースメーカー手術をしたほうがむしろ安全かもしれないという報告がある。が、これを支持する臨床研究は今まで多くなかった。
方法:血栓症のリスクが5%の患者たちをワーファリン治療を継続する群とヘパリン置換する群に分類。主要評価項目は臨床的に意味のあるデバイスポケット内の血腫(特に入院期間が長くなったり、抗凝固薬の中和が必要になったり、血栓除去手術などが必要になるような血腫)の出現。
結果:データ安全性モニタリング委員会は事前に指定した二次中間解析のあとに中止を推奨した。臨床的に有意な血腫はワーファリン継続群では12/343人に発生、ヘパリン置換群では54人/338人に発生。(相対リスク0.19,P<0.001)。大手術が必要になる合併症や血栓塞栓性の合併症はほとんどなく両群で有意差なし。ヘパリンブリッジ群では心タンポナーデや心筋梗塞の合併症が1例ずつあり、ワーファリン継続群では脳梗塞およびTIAが1例ずつだった。
結論:ペースメーカー手術やICD植え込みの際はヘパリンブリッジに比べてワーファリンを継続するほうがポケット内の血腫発生率が圧倒的に少ない。仮説の1つ:ワーファリン内服中であれば術中に傷口から出血が続くからしっかりと止血する。一方でヘパリンブリッジ群では手術中に出血が目立たなくなるだけで、手術が終わってから抗凝固薬を再開して出血しやすくなるから術中に目立たたなかった小さな傷からまた出血してしまい最終的には血腫になってしまう。(anticoagulant stress test)
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