つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

感染症

ノロウィルスの診察ポイント(メモ)

ノロウィルス診察のポイント ・潜伏期間は24−48時間 ・主な症状は悪心、下痢、嘔吐。 ・腹痛、筋痛、頭痛もみられる ・半数で微熱。 ・症状は2−3日で治まる。小腸の吸収障害は2週間ほど持続 ・汚染した水、食物から感染 ・人ー人感染も起こる ・アルコー…

風邪患者に「唾を飲むと痛いですか?」と聞く理由

風邪患者に「唾を飲むと痛いですか?」と聞く理由 【咽頭痛と嚥下痛の違い】 咽頭痛と嚥下痛は似たようで異なる概念である。嚥下痛は何かを飲み込んだ時に痛みを生じる、嚥下動作の痛み。一方で咽頭痛は咽頭という部位の痛み、また頸部の痛みも拡大解釈され…

細菌感染でCRPはWBCに遅れて上昇する理由

細菌感染でCRPはWBC(白血球)に遅れて上昇する理由 細菌感染では血中のCRPもWBCも上昇するがそれぞれピークになる時間に差がある。 それぞれどのように血中濃度が上昇するのかを考えるとわかりやすい。 【WBCとCRP上昇のイメージ図】 画像参照:http://heal…

ウィルス感染でCRPが上昇しない理由

ウィルス感染でCRPが上昇しない理由 CRPとは CRP(C反応性蛋白)は細菌感染の際に肝臓で合成が促進され血中濃度が上昇する。故に感染症を疑う時はルーチンで測定されるマーカーである。 CRPは細菌の細胞膜であるリン脂質二重層(ホスホリルコリン)に結合し…

敗血症の新定義:SOFAスコア

敗血症とはこれまで「感染によって発症したSIRS」と定義されていたが2016年2月に敗血症の新しい定義が提唱された。 SIRS(全身性炎症反応症候群)の定義は以下の4項目のうち2項目を満たす場合である 1)体温:<36℃または>38℃ 2)脈拍数:90/分…

肺炎治療におけるロセフィン®とユナシン®の使い分け

肺炎治療におけるロセフィン®とユナシン®の使い分け ◯ロセフィン®(セフトリアキソン)は第三世代セフェム。 グラム陽性球菌とグラム陰性桿菌両方カバーしている。 更に第一世代や第二世代セフェムが苦手であったBLNAR(インフルエンザ菌)に対しても有効で…

肺炎治療でセフトリアキソン使えない状況

ロセフィン®(セフトリアキソン)は第三世代セフェム。 グラム陽性球菌とグラム陰性桿菌両方カバーしている。 更に第一世代や第二世代セフェムが苦手であったBLNAR(インフルエンザ菌)に対しても有効であり大変有能であり頻用される抗菌薬である が、 緑膿…

整腸剤の科学的エビデンス

下痢に対して処方されることの多い整腸剤(ex,ミヤBM、ビオラクチス、ビオスリー、ビオフェルミン、ラックビー等…)。調べると次のようなエビデンスが有る。 www.ncbi.nlm.nih.gov まとめ ・8014人の患者(小児含む)メタアナリシス ・整腸剤使用で下痢の平…

緑膿菌感染をいつ疑うか(メモ)

緑膿菌感染のリスク因子 ・15日以上入院している ・第三世代セフェム系抗菌薬の使用歴(菌交代で緑膿菌が残る) ・COPDなどの慢性気道疾患の既往あり (レジデントのための優しい呼吸器教室参照)

市中肺炎と院内肺炎、医療介護関連肺炎の違い

肺炎は感染した場所(菌をもらった場所)によって原因菌の種類が異なり、違う臨床像を呈する。原因菌が異なると治療薬も変わってくることになるので肺炎は大きく市中肺炎と院内肺炎に分類されている。 【市中肺炎とは…】 病院外で日常生活をしていた人が発症…

帯状疱疹へのアプローチ(メモ)

帯状疱疹とは 帯状疱疹は脳神経の神経節や後根に潜伏している水筒・帯状疱疹ウィルス(VZV)が再活性化することにより生じる。VZVの再活性化のリスク因子としては加齢、免疫抑制状態(癌、糖尿病、ステロイド、HIV感染など)。特に帯状疱疹の発症の半数は6…

発熱性好中球減少症の定義

発熱性好中球減少症(FN)とは好中球が減少している期間の発熱状態のこと。FNで適切な抗菌薬投与が行われないと死亡率は40%以上にもなるとの報告もあり、非常に重篤な状態である。FNの診断は以下の好中球減少症と発熱の両方を満たした場合にされる。 好中球…

発熱性好中球減少症の入院適応

発熱性好中球減少症(FN)とは好中球が500以下に減少し、腋窩体温が37.5度以上に上昇した状態であり、死亡率が高く厳格な管理が必要である。 FNのリスク分類としてはMASCCスコアが広く用いられている。 MASCCスコア スコアの合計が21点以上であれば低リス…

伝染性単核球症へのアプローチ

伝染性単核球症へのアプローチ ・発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹が3徴 咽頭所見では分厚い白苔、扁桃の腫脹が強く重篤に見える。 リンパ節腫脹は全身性。鼠径部や腋窩にも見られると伝染性単核球症の確率は上がる。 ・身体所見では肝脾腫に注目 多くの場合肝臓…

術後抗菌薬予防投与はいつまで行うべきか

術後抗菌薬予防投与はいつまで行うべきか 侵襲的な外科手術の後は感染症リスクが上昇するために予防的に抗菌薬投与を行う。術後24時間以内に予防的抗菌薬投与は終了してよいというエビデンスが多くあるが、実際の臨床では術後2−3日間投与され続けること…

術前抗菌薬予防投与で何を選択するか

外科手術では手術部位が微生物に暴露するために感染リスクが常に付きまとう。CDCの定義では手術から30日以内(人工物を留置する手術の場合は90日以内)に発症する手術部位の感染症を手術部位感染(SSI)としている。 感染の予防のために術前抗菌薬投与が…

麻疹でコプリック斑が出現するのはなぜか(メモ)

麻疹では第一臼歯、第二臼歯の対側の頬粘膜にコプリック斑という白い丘疹がポツポツと出現する。このコプリック斑は特異的で8割の麻疹患者に見られることから診断において重要な所見である。コプリック斑はなぜ出来るのであろうか。 コプリック斑は病理学的…

麻疹疑いへのアプローチ

麻疹(はしか)疑い患者へのアプローチ 高熱、皮疹を主訴に来る患者では麻疹を鑑別に挙げ、陰圧個室で診察を行う。 コンテンツ ・麻疹の概要 ・カタル期、発疹期、回復期 ・診断のポイント ・麻疹の各症状の出現頻度 ・コプリック斑の写真(引用) ・麻しん…

細菌尿=尿路感染症ではない

尿沈渣検査で細菌尿を認めるからといって尿路感染症となるわけではない。尿から細菌が検出されるが、特に症状を認めないことを無症候性細菌尿という。 無症候性細菌尿は若い健康的な女子でも5%ほど認められ、特に高齢者では40ー50%が無症候性細菌尿を…

尿定性検査(白血球、亜硝酸塩陽性)の意義の違い

尿定性における白血球{WBC)陽性と亜硝酸塩陽性の意味 尿定性検査 ・白血球陽性→白血球のエラスターゼ酵素への反応をみるもの。尿中に白血球が存在する、つまり膿尿であることを示唆するが必ずしも尿路感染症であることを意味しない。 例えば虫垂炎、膵炎、…

いつレジオネラ肺炎を疑うか(診断基準)

レジオネラ肺炎とは河川や土壌に生息するグラム陰性桿菌のLegionella pneumophiaを原因とする肺炎であり、温泉や空調設備の冷水環境などで増殖し、エアロゾルから集団感染を引き起こす。 ポイント ・重症肺炎では必ず疑うべき ・βラクタムが効かない ・確定…

肺炎尿中抗原の感度と特異度

尿中抗原の感度と特異度 尿中抗原検査とは肺炎に感染することで尿に出る莢膜多糖抗原をイムノクロマトグラフィーで検出することで肺炎の有無を調べる検査方法。 肺炎球菌尿中抗原→感度:70%、特異度:80〜100% レジオネラ尿中抗原→感度:74%、特異度:99.…

肺炎において血液培養は必要か

肺炎において血液培養はどういう時に必要なのだろうか 血液培養で市中肺炎の原因菌を特定できたのはたったの7%で、エンピリックな抗菌薬が効かずに抗菌薬の変更が必要になったのはわずかに0.4%という報告がある。 市中肺炎において血液培養をするメリット…

急性期DICの診断基準

DIC(播種性血管内凝固症候群)の診断基準 ・DICとは DICとは種々の基礎疾患(敗血症、悪性腫瘍、産科疾患、高度外傷など)を元に血液凝固能が亢進し、全身の細小血管に血栓が多発し、臓器の虚血性機能障害をきたす疾患である。凝固因子や血小板は消費されて…

血液培養でいつコンタミを疑うか

血液培養でいつコンタミを疑うか 血液培養は菌血症を疑うときに必要な検査であるが、いくら慎重に採取してもコンタミを0にすることはできないので注意が必要である。が、血液培養で生えてきた菌が本当に血中にいるものなのかコンタミによるものなのか鑑別す…

いつ嫌気性菌を疑うか(横隔膜の上と下で分けて考える)

嫌気性菌感染をいつ疑うか 嫌気性菌とは酸素のない環境下で増殖する菌である。が、健常人においても消化管や口腔あるいは膣などの粘膜の常在細菌叢にも一部定着している。常在菌だけでは感染症を起こさずに無害であるが、何らかの原因によって宿主側の環境の…

不明熱が感染症由来かどうかの判断指標

【不明熱とは】 「三週間以上38.3度以上の発熱が続き、3日以上診療(3回以上の外来か3日以上の入院)しても原因がわからないもの」が不明熱と定義される。原因としては感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患が多い。 感染症:感染性心内膜炎、結核、前立腺炎、…

vibrio vulnificusが肝硬変患者に多く発症する理由

vibrio vulnificus感染症が肝硬変患者に多く発症する理由 【vibrio vulnificusとは】 vibrio vulnificus(ビブリオ・バルニフィカス)とはビブリオの一種で壊死性筋膜炎を起こすことから日本では人食いバクテリアとも呼ばれる菌の一種である。 生息域は腸炎…

蜂窩織炎と壊死性軟部組織感染症の鑑別(LRINECスコア)

蜂窩織炎と壊死性軟部組織感染症の違い 蜂窩織炎 全身状態良好(元気) 症状が日単位で進行 水疱や血疱はなし 見かけどおりの痛がり方 発赤部位のみで圧痛を認める 壊死性軟部組織感染症 全身状態不良(しんどそう) 症状が時間単位で進行 水疱や血疱あり 見…

単純性と複雑性尿路感染症の違い(なぜ分類?)

単純性と複雑性尿路感染症の違い 膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎など尿路に関係する部位で起きる炎症を尿路感染症と呼ぶ 。その中でも膀胱炎と腎盂腎炎に関しては単純性尿路感染と複雑性尿路感染に分類される(起炎菌や再発頻度が変わってくるため)。 ・単純性…