いつレジオネラ肺炎を疑うか(診断基準)
レジオネラ肺炎とは河川や土壌に生息するグラム陰性桿菌のLegionella pneumophiaを原因とする肺炎であり、温泉や空調設備の冷水環境などで増殖し、エアロゾルから集団感染を引き起こす。
ポイント
・重症肺炎では必ず疑うべき
・βラクタムが効かない
・確定診断はほとんど尿中抗原検査でなされる
・日本における発症はおよそ800例/年
・潜伏期間は2−10日間
・4類感染症で保健所へ届出義務あり
レジオネラ肺炎の診断基準を紹介
診断基準:Winthrop-University Hospitalクライテリア
以下のスコア合計が10点以上で強く疑われる、5−9点で疑われる、4点以下で否定的
(支持する症状)
中枢神経症状→頭痛1点、意識障害/脳症2点、傾眠3点
呼吸器系→膿性痰2点
消化器系→軟便/下痢3点、腹痛5点
脈拍→比較的徐脈5点
治療→βラクタム無効5点
腎臓→急性腎不全5点
(否定的な症状)
嗄声-3点、耳痛-3点、乾性咳嗽/咽頭痛-3点、血痰-1点、胸膜痛−2点
(支持する検査結果)
低リン血症4点、AST,ALT上昇4点、Bil上昇2点、潜血陽性2点、低ナトリウム1点、Cre上昇1点
(否定的な検査結果)
寒冷凝集素上昇−3点
・レジオネラ肺炎の97%は尿中抗原で確定診断されているという。レジオネラ尿中抗原検査は感度74%、特異度99.1%とスクリーニングには不向きだが確定診断に有用。尿中抗原陽性になれば楽な話であるが、陰性でもレジオネラが疑われるときはWUHスコアを計算してみると良いかもしれない。
参考文献
Evaluation of the Winthrop-University Hospital criteria to identify Legionella pneumonia. - PubMed - NCBI(Chest.2001;120:1064-71)