C3,C4、CH50測定の意義
補体についておさらい
補体活性には大きく分けて3つの経路がある。古典経路、副経路、レクチン経路である。
古典経路:抗原抗体のきっかけで反応が開始
副経路:病原体にC3が結合することで開始
レクチン経路:MBL(マンナン結合タンパク)に病原体表面のマンノースが結合することで開始
これらは経路の途中で合流し、C3変換酵素を生成し、最終的には膜侵襲複合体を結合して病原体(細菌)の破壊を引き起こす。
【複雑な補体活性化の経路図】
http://www.med.kindai.ac.jp/immuno/shiozawa.htm
C3,C4,CH50 それぞれの検査値の意味
●CH50とは補体活性化の古典的経路に関わるC1-C9全ての成分の総合的な活性を示す指標。補体成分の多くはCRPのような急性期反応物質であるので、感染など炎症状態によって容易に上昇する。よってCH50上昇の臨床的意義は乏しい。逆に、CH50低下が重要であり、原因としては補体欠損症や補体活性化による消費が疑われる。
消費亢進の原因としては:SLE,悪性関節リウマチ、溶連菌感染後糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、クリオグロブリン血症、発作性夜間血色素尿症、遺伝性血管性浮腫など
●C3とは補体活性化の古典的経路と第二経路の合流点に位置し、両経路の活性化に重要な役割を果たす。他の補体と同様に急性期反応物質であるため、炎症性疾患で上昇する。C3低下の原因としては重症肝硬変によるタンパク合成低下による産生低下や補体欠損(先天性C3欠損症)、補体活性化に伴なう消費亢進など。
●C4とは補体活性化の古典的経路とレクチン経路に含まれる補体成分。補体成分の中ではC4についで多く血中に存在する。他の成分同様に炎症性疾患などでC4は上昇する。C4低値の原因としては重度肝硬変による産生低下、古典的経路活性化に伴なう消費亢進が考えられる。また稀では有るが、先天性C4欠損症もありうる。
●C3とC4に解離が見られる場合の鑑別
SLEや悪性関節リウマチでは第二経路と古典的経路両方の活性化に伴いC3,C4両方共低下する。
溶連菌感染後糸球体腎炎や膜性増殖性糸球体腎炎では第二経路単独の活性化が起こるので主にC3が低値となるが、C4は正常。
遺伝性血管性浮腫は第二経路の活性化を伴わないためC3が正常、C4が低値となる。
画像:https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2766
参考文献:診断に直結する異常値の読み方辞典